ふたり回し

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カレブ

雑多な兵員輸送車が混在している状況を合理化するため、イスラエル国防軍では装輪式、装軌式装甲車を統一する新たなカテゴリー求めていた。

陸軍とIMIが合同で調査を行い走破性と舗装路での走行速度を両立に有効だと判断されたのは、モンスタートラックやパワーローダーが装備する大径ブロックタイヤである。

IMIはトレッドを大きくとり、オープンホイール化することで車体の大型化を9t弱まで抑制、完成した試作車を陸軍のトライアルに提出した。

試作車は装軌車両に並ぶ超壕性や走破性にも拘わらず浮航能力や低燃費など装輪車両由来のメリットを発揮、装輪式装甲兵員輸送車カレブとして陸軍への配備が進められた。

本車には国内よりも、寧ろ湿地や雪原の多いアジアや北米の防衛組織が強い関心を示し、他国に先駆けタイが200台の受注契約を結んでいる。

 

カレブの外見は、従来のMRAPよりもバギーカーに近い。

直径1.8mのタイヤは段差や悪路に強く、本車の完成により輸送用の装軌車両は必要性がなくなったとも評された。

懸架装置には多重に積層された中実のカーボン材を使用し、4輪全てをトーションバーで独立懸架している。

車輪の少なさは駆動系の軽量化、高剛性化に繋がり、複数回のパラシュート降下後にも完全な走行能力を発揮した。

V字6気筒のディーゼルエンジンは総排気量60L、軸馬力450hpを誇り、整備時にはエンジンブロックをレールに沿って丸ごと前方に引き出すことが出来る。

 

機動力が重視されたため、キャビンは4人が搭乗できる最小限のものとされた。

開発時に想定されたのは12mm銃弾や爆発物による攻撃で、全面に複合装甲が施され、車軸が高いため地雷による被害も小さい。

グリルを両側に備え内部の部材もグリルの奥を避けて配置されている他、巨大なタイヤそのものがスペースアーマーとして機能するため非常に高い耐久性を有する。

一方車輪が四輪しかなくスペアタイヤの搭載も断念されたことから、銃撃に対する脆弱性が指摘されていた。

重ねて専用のタイヤはランフラットタイヤではなく農機用のタイヤを元に開発されたため、ウレタン注入によってバーストを防止している。

車輪により側方視界が塞がれ、ハッチの少なさが損耗率を引き上げているという報告もあるが、未だ乗員によるデサント以上の対策は実施されていない。

 

汎用車として、カレブには多様な補器が与えられた。

バンパーと連結器はオプションではなくラダーフレームと一体化しており、マインローラー等に対応している。

下部には電動ウィンチ、両端にはIED妨害用のロッドアンテナも装備可能。

ルーフにはRWSのマウントを持ち、サムソンRCWS-30を装備した重武装の車両もイベントに出展された。

車体後部はユニット化されており、救護車両や火力支援などに幅広い利用が計画されている。

北部国境地帯では既に6×2ACCULAR投射システム、続いて三連装120mm迫撃砲ユニットの運用が開始された。

加えて物資輸送に対応させるため、専用トレーラーの開発も進められている。