今回のお話は、マナカーブ論を信じてはいけないというお話です。
マナカーブ論が通用するのは、まさしく一部の「勝負君デッキ」くらい。
そのほかのデッキのマナカーブは、かなりいびつです。
1.マナカーブとは?
マナカーブは、特定のコストに何枚カードがあるかを図表にしたものです。
これによって、デッキ全体のコスト分布がわかり、
ひいては改善すべきポイントが見えてきます。
例えば、あるコスト域がかさ張りすぎると、
そのコストのカードは、
同コストのカードに出番をとられてしまうかもしれません。
逆に、あるコストのカードが少ないと、
マナを余らせてしまうターンが出てくるかもしれません。
ですから、マナカーブは、デッキを見せる上で、重要な役割を果たします。
デッキにとっては、マナカーブは縦断面図なのです。
2.マナカーブは動く?
コロコロコミックなどに載っている「マナカーブ論」には、
富士山型の細くなっていく曲線がついて回ります。
そのグラフは、毎ターンカードが増えていくとき、
「最もマナコストをうまく使い切れる」分布を示しています。
ですから、そのグラフに従ってデッキを組むと、
もっとも効率のよいデッキが作れるらしいのですが・・・
さて、ここで一つ質問です。
皆さんは、デッキの中のカード全てを、
きちんとコストを払って使っていらっしゃいますか?
決してズルのことではありません。
おそらく、結構なデッキに入っているはずです。
「シールドトリガー」を持っているカードが。
そう、シールドトリガーは、コストなしでも使えるカードの一種。
他にも、シリウスやイングマールなど、
特殊な手段で出すクリーチャーは、少なからず存在しています。
グールやロマノフも、「タダで使える」効果ですね。
また、ブーストを使えば重いカードが早く使え、
ドローをすれば少ない枚数のカードも出てきやすくなります。
マナカーブ論には、まったく反映されていない、
このようなカードこそが、重要になってくるのです。
それ以外にも、
マナにカードを置くごとに手札が増えることや、
速攻の存在なども、マナカーブ論からは抜け落ちています。
あまりあてにはならないような気がしてきませんか。
3.代表的なカードとマナカーブの変化
手書きで汚い?線が太い?偏差値分布表に見える?
これがペイントの限界です。我慢してください。
ハテナに上げる画像は軽くなくてはいけないので、
ピクシアが使えないのです。*1
左がビフォー、右がアフターです。
ブースト、ドロー、トリガー、特殊召喚と、
それぞれマナカーブがどのように動くか、モデル化しました。
アフター側の青のラインは、変化前の名残です。
ブーストの効果は、「ターンスキップ」でしたね。
マナカーブのうち、
ブースト以降の部分がダルマ落としを受けた形になるよう、
真下にずらしてみました。
トリガーは、一定確率でトリガー自体が早く使えるというだけですから、
トリガーのカードが少し下に移動したように見せます。
ドローや回収は、引っ張ってくるカードが疑似的に増える効果。
横に太らせる形に表現しました。
母なる大地なども、ほぼ同じ変化があると思います。
最後に、インフェルノ・サイン。
大型のクリーチャーを、トリガーに変えてしまうこのカードには、
回収、コスト軽減の二種類の効果が見込めます。
パーフェクトギャラクシーなどは、
速攻相手に活躍できるフィニッシャーですから、
ここでもおおきなスペースの圧縮が起こっています。
以上、マナカーブの変化についてのご説明でした。
デッキにとっての最適な構造は、
単純な計算から叩きだされた、一本の曲線上にはありません。
機能と確率が交錯する、混沌たる戦場の中に、
無数の最適パターンが眠っているのです。
<関連記事>
*1:偏差値分布に見えたら勉強して下さい