ゲームの攻略サイトで必ず出てくるのが、
よくもまあこれだけ、と思わずにはいられない無数の略語、隠語達です。
一体なぜ、ゲーマーは用語を作りたくなるのか。
今回は、用語とゲームのお話です。
・混沌たる格ゲーwiki
これが専門用語の塊になっていたりします。
フワステ?CSC?マワールって新しいガンダムですか?などなど。
アーマードコアなんかはもっとひどくて、
分からないから調べているのに、
分からないことが増えてしまって、もうどうしようにもありません。
あまりに用語が多いのは、さすがに困りものです。
・ネーミングの功罪
専門用語の弊害というと、上で申し上げた通り、
「分かりにくさ」の一語に尽きます。
特に、調べ始めたばかりの時は、
覚えることはなるべく少なくして欲しいというのが、本当のところ。
その点、5CGだの置換効果だの言われると、
初心者の皆さんは会話に入って行きにくいでしょう。
逆に、メリットといわれると、思い浮かびにくいかもしれません。
他の言葉で十分に表せること(ネクラ=白黒緑など)を、
わざわざ別の分かりづらい言葉でいう必要があるのでしょうか。
ヤクザや警察なら、分かります。
彼らには、周りの人に内容を知られず、
こっそりコミュニケーションする必要があります。
でも、格ゲーマーやカードゲーマー、ボードゲーマーに至るまで、
無駄な用語を作るのは、全く何の意味もない、
知識を蓄えているふりをして、優位性を築こうとする、
さかしらな秘儀の参入者のまねごとではないかと、
言われてしまうのも無理はないでしょう。
しかし、それでも、用語は使われ続けます。
それが良いことかどうかは別として、需要があるのです。
「ネクラがはやっぱりピーキーや」
「シータはトップ強いからなぁ」
この会話、果たして「白黒緑」と「青赤緑」で済むかというと、
これもまた疑問が残りますよね。
「ネクラ」と「白黒緑」の間に横たわっているもの、
そこに、この疑問を解くカギがありそうです。
・MTGプレイヤーに「ガラムタエルフビート」!!
少し話題を変えましょう。
この用語論争の中で、
「MTGの盲目的な権威づけ」と、
それを論破する「MTGプレイヤーは使っていない」論、
頻繁に取り上げられています。
この「MTGでは使われない」論、
私は、その方が自然な流れだと感じざるをえません。
なぜって、DMで「ネクラ」が使われているのは、
正にDMにネクラというカードがないためだからです。
ネクラというカードがないからこそ、
ネクラという言葉が、デッキの色構成だけに宛がわれた、
それこそが、
MTGではドラゴンと共に絶滅したネクラという言葉が、
DMで今も生き残っている理由なのです。
もしDMにネクラというカードがあれば、
「ネクラ」という言葉は、
デッキのカテゴリー以外も示すことになってしまいます。
アクアンの入っていない「アクアンメカオー」、変ですよね。
カードの持つ具体的なイメージが、
デッキタイプの持つ抽象的なイメージに勝ってしまうと、
デッキタイプとしてのアクアンという言葉は、
次第に淘汰されてしまうものなのです。
ですから、MTGプレイヤーの皆さんには、
むしろ「ガラムタエルフ」の方が人気が出るかもしれません。
・性質と固有性
具体的なイメージと、抽象的なイメージのぶつかり合いは、
「青赤緑」にも当てはまります。
「青赤緑」は、
デッキの性質を説明する上では、確かに便利ですが、
それはデッキの説明であって、
「青赤緑のデッキってさぁ」とは言えません。
「シータのデッキってさぁ」と言えるのは、
「シータ」という言葉が、
他の言葉やものに依拠していないから、
すなわち、具体的なイメージを持たないからです。
「青赤緑のデッキ」の、ステレオタイプなイメージを、
「シータ」という言葉が拾い、
「シータ」という言葉について「語る」ことを、
可能にしているのに他なりません。
「青赤緑」では、
「青と赤と緑が入っている」ところで止まってしまいますが、
「シータ」はその先にある、
戦いぶりや、強力なカード、対戦経験など、
様々なイメージを、そのあいまいさの中に抱えています。
名前を付けることの本質は、
特別なものにする、「語るべき」対象にすることです。
「ネクラ」「シータ」には、
「白黒緑」「青赤緑」では表せないものが含まれて、
だからこそ使われ続けている。
勿論、分かりにくいのは問題ですから、
そこはWikiに格好いい所を見せてもらわなくてはいけませんが。
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