最後の山を越えた。
もうじき4話は公開できそうだ。
ScarletStream題4話より
指先から明るい波が伝わり、一瞬を突き抜け、目の前に弾けた光に目がくらんだ。気がつくと、私は広々とした雪原のただなかにいる。寝静まった白い地平には、もはや風音の姿さえなく、底のない澄んだ空と染み一つない雪原が安らかな静寂を塗り分けている。見渡す限りの白と青。凍てつく空に太陽は見当たらず、輝く大地に落とされるはずの影もない。どう考えてもお迎えが来たとしか思えない光景だが、不思議と恐れは全く感じられなかった。はるか昔から見知っているような、どこかで待ち続けていたような懐かしさが、ここにはある。だから、あれは――迎えにきたのだ。
温かい涙が頬を伝い、真っ白な雪に吸い込まれたその時、深い青の奥底で何かがきらりと光った。一つだけではない。真昼の空に散りばめられた星々は次第に輝きを増し、世界を満たしてゆく・・・
星と太陽は、これから先も何度か使っていくことになるシンボル。
太陽と影は、兄という理想に対して否定的にしか得られない風音のアイデンティティのつもり。
つもりだが、このお嬢さんがこれから先何をしてくれるか・・・私自身も見守る他ない。
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