デッキの構造リターンズ、第二章に突入です。
前回の記事はこちら。>>デッキの構造リターンズ 1-2 (デッキの速度と相性) - ふたり回し
今回のテーマは、デッキタイプとデッキ内のカードのコスト、搭載枚数の関係です。
デッキの性質を決めるのはタイムテーブルですが、肝心のデッキの中身は、40枚のカードです。
どんな種類の、どれくらいのコストのカードを、何枚ずつ、どれくらいの比率で搭載するのか―
それが、「デッキレシピ」と呼ばれるものの全てです。
本当は四つ例をあげたかったのですが、多すぎると混乱してくるので三つにしましょう。
同じデッキタイプでもデッキによって違う動きをすることがありますが、それは次回のテーマとします。
・デッキの速度と固さ
まずは一番単純な問題からです。
早いデッキと遅いデッキが存在することは、前回お話いたしました。
それでは、早いデッキと遅いデッキの内部の違いは、一体何なのか。
例を挙げてみていきたいと思います。
こういうときは、とりあえず速攻から始めるのが伝統ですね。
先日ご紹介した青白連鎖を例に考えてみましょう。
<青白連鎖速攻>
・山札操作、ドロー
4 x アクア・ベララー
2 x 電磁封魔ロッキオ
1 x アストラル・リーフ
・特殊召喚(連鎖)
3 x ペロリ・ハット
4 x 増殖防御オンバル・チョコザイカー
4 x アクア・ジェスタールーペ
・妨害(除去・ランデスもどき)
4 x 聖天使グネス・パルキューラ
2 x 封魔ゴーゴンシャック
・ブロッカー
4 x エンペラー・ティナ
4 x マリン・フラワー
2 x 予言者シュウ
3 x 日輪の守護者ソル・ガーラ
3 x 光陣の使徒ムルムル
このレシピを並び替え、縦軸にコストをとって横軸をカードの一枚一枚にします。
さて、まず目につくのはコストの低さでしょう。
活動時期を最序盤に置いているので、速攻のカードは低コストのカードで固めることがほとんどです(手札から使わないトリガーなどは別)
「貧弱なカードでも早ければ強い」というのが速攻の基本方針です。
そして、もう一つの特徴として、全体の均質性が挙げられます。
4枚フル搭載のカードが多いのはもちろん、似たようなカードを足し合わせて6枚積み、7枚積みになっているカードもありますね。
デッキ内の役割分担そのものも単純で、その分一つ一つの部署のカードが多く搭載してあります。
すでにお話しした通り、これは「早い段階で必要なカードを引き当てる」ためです。
たくさん入っているカードは、出てきやすいのだから、早く引きたければたくさん積めばいい。
非常に簡単な問題ですね。
ところが、重量級のビートダウンでは少し話が違ってきます。
Deadmanさんの青Bロマを例にとってみましょう。
<青Bロマ>
・ブースト
2 x フェアリー・ライフ
4 x 停滞の影タイム・トリッパー
・ドロー、回収
4 x エマージェンシー・タイフーン
2 x エナジー・ライト
1 x サイバー・ブレイン
1 x 蒼狼の始祖アマテラス
・特殊召喚(とその準備)
1 x 母なる紋章
4 x カラフル・ダンス
4 x 魔光蟲ヴィルジニア卿
1 x インフェルノ・サイン
1 x 盗掘人形モールス
・フィニッシャー
4 x 大邪眼B(ビギニング)・ロマノフ
・その他
1 x スパイラル・ゲート
3 x リーフストーム・トラップ
2 x ヤミノサザン
2 x 威牙忍ヤミノザンジ
3 x アクア・サーファー
(カラフルダンスは特殊召喚に「費やされる」けれども引いたからといってBロマは出せないカード。扱いが難しいです。)
速攻と違い、カードがいくつもの部署に分かれていますね。
これは、重量級のビートダウンが、特定のカードに大きく依存しているためです。
デッキが大型化・低速化すると、特別強力なクリーチャーを使わないことには勝てません。
そして、特別強力なクリーチャーを、早く、そして有効に使うためには、他の様々なカードでお膳立てする必要が生まれます。
Bロマノフの場合なら、カラフルダンスで墓地にクリーチャーを用意し、ヴィルジニアで墓地からBロマを釣り上げなくてはいけません。
それぞれ4枚ずつしか積めないカラフルダンスとヴィルジニアを確実に両方手に入れるためには、強引にドローで持ってくる必要もあります。
それまで相手の攻撃に耐えるためには、防御用のカードも大切になってきますし、マナ加速によって速度を底上げしなくてはいけません。
こうして、デッキがいろいろな部分に分かれていくのです。
ここで、早いデッキと遅いデッキの違いをまとめてみましょう。
1.早いデッキほど、カードの構成は均質的、一面的になりやすい。
2.遅いデッキは、特定の強力なカードに頼る傾向がある。
3.遅いデッキは、活動時期に入るまでの間に下準備を行うことでより厳しい条件のカードを使える。
これ以上細かい部分は個々のデッキによって変わってくるので、このあたりで一旦話を切ります。
・カードの密度とデッキタイプ
さて、大小のビートダウンの構造上の違いを説明し終えたところで、コントロールとビートダウンの違いの説明に移りましょう。
説明にはpakilaさんのネクラ超次元を使わせていただきます。
4 x フェアリー・ライフ
1 x 鼓動する石版
1 x 時空の庭園
・ドロー他
4 x 天雷の導士アヴァラルド公
1 x ディメンジョン・ゲート
2 x 魔光王機デ・バウラ伯
1 x ロジック・キューブ
・ホール
4 x 超次元ミカド・ホール
3 x 超次元ドラヴィタ・ホール
1 x 超次元シャイニー・ホール
3 x 超次元フェアリー・ホール
・その他
2 x ゴースト・タッチ
1 x ローズ・キャッスル
2 x リーフストーム・トラップ
4 x マナ・クライシス
2 x ナチュラル・トラップ
1 x デーモン・ハンド
1 x 神滅恐皇グールギヌス
2 x ロスト・ソウル
1 x 時空の喧嘩屋キル/巨人の覚醒者セツダン
1 x 時空の英雄アンタッチャブル/変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード
1 x 時空の踊り子マティーニ/舞姫の覚醒者ユリア・マティーナ
1 x 時空の剣士アクア・カトラス/青藍の覚醒者アクア・エクスカリバー
1 x 時空の銃姫エイプリル/鎮魂の覚醒者デス・エイプリル
1 x 時空の雷龍チャクラ/雷電の覚醒者グレート・チャクラ
1 x 時空の賢者ランブル/恐気の覚醒者ランブル・レクター
1 x 時空の封殺ディアスZ(ゼータ)/殲滅の覚醒者ディアボロスZ(ゼータ)
サイキッククリーチャーが蚊帳の外になってしまったのが心残りですが、山札内の様子はおおよそこんなところでしょう・・・
ビートダウンとの最も大きな違いは、相手に対して使うカードが大きく、少しずついろいろ搭載されていること。
そして、下準備に使うカードがデッキの大部分を占めているということです。
コントロールデッキは自分から勝負を仕掛けるビートダウンと違い、相手に合わせて行動しなくてはいけません。
ですから、こまめにドローや回収を行いながら戦う必要があるのです。
(超次元呪文の扱いには困りましたが、今回はヴィルジニアと同系列のカードとして扱います)
早さを求めるビートダウンにおいてはソリッドな構成が求められますが、対応力が必要なコントロールにはフレキシブルな構成が求められるのです。
また、コストが高いカードがたくさん搭載されているのもビートダウンと違うところの一つ。
ビートダウンが明確な目的に向かって各ターン決まった動きを取ろうとするのに対して、コントロールは安全を確保するまで戦い続けなくてはいけません。
(これは前回の記事で述べたとおりです)
コントロールは長期戦を想定しているために、マナが溜まりきった後の戦いに使うべきカードを多く積むことになります。
デ・バウラのような回収カードも威力を発揮するのは墓地の増える後半戦ですから、やはりコントロールで重宝されます。
ちなみに、このデッキは緑型のコントロールです。
マナ加速に大きな枠を割いていますが、その分残りの枠には一発あたりの大きい高コストカードが搭載でき、平均コストは上がっています。
(詳しくは次回)
グールギヌスやロストソウルなど、一撃で相手に致命傷を与えることができるカードがいくつも入っていますね。
また、マナ加速は大きさだけでなく早さにも貢献していて、4ターン目に超次元呪文を使うことを可能にしています。
先に超次元クリーチャーを出してしまえば、相手は対応に迫られて身動きがとれません。
早さは、やはりどんなデッキにおいても武器になり得るのです。
ここで、ビートダウンとコントロールにおけるデッキ内のカード分布の違いをまとめましょう。
1.コントロールはビートダウンよりも下準備に多くの枠を割く。
2.ビートダウンは高コストカードでも多めに積むが、コントロールにおいては重要なカードの搭載枚数が少ないことも多い。
3.コントロールデッキは、相手の妨害に使えるカードも相対的に多く搭載する。
とりあえず、これだけ押さえておきましょう。
今回は、なんとなく概論に近い内容になりました。
「テクニック」と呼べるほど高度ではありませんが、ともすれば忘れてしまいがちな、基本中の基本です。
一からデッキを作る際にも大切な指針ですから、勝手に体が従うくらいに刷り込んでおきましょう。
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