ふたり回し

小説投稿サイトとは別に連絡や報告、画像の管理などを行います

デッキの構造リターンズ 2-2(カードの搭載枚数に関する原則)

前回お話したのは大まかなデッキタイプとデッキ内のカード比率の関係でした。

今回は、デッキの性質とデッキ内のカードの構成の関係の原則を細かく探っていきましょう。


デッキの中に搭載するカードの枚数には、おおまかな約束があります。

細かい例外は別の機会で扱うとして、まずはじめに簡単な原則を押さえましょう。

デッキを組む際の目安として、きっと役に立ってくれるはずです。


・デッキに関わらずだいたい当てはまる原則(例外は後回しにします)

とりあえず6つの原則を挙げてみます。

この6つは、デッキのタイプに関係ない原則です。

デッキのタイプによって違ってくる大切な原則もあるので、そのことは忘れないでください。


a.デッキの動きを決める部分と、そうでない部分を分けて考える。

b.カードはドローを重ねるごとに出てきやすくなる。1アクションに割く搭載枠は、序盤ほど大きくする。

c.マナが溜まりきった状態でしばらく戦い続けるなら、コスト別カード数は中盤以降が太ってもよい。

d.マナが溜まるまでは、どのターンにどのカードを使うか決めておくこと。(手筋はいくつかあってもよい。)

e.ドローやマナ加速の恩恵を受けられない部分は、速攻のように多く積み、軽くそろえること。

f.防御の厚みは、敵の攻撃を3試合に2試合捌けるくらい必要。(攻撃を未然に防げる相手のことは考えない)


表向きは四角四面に原則だのお約束だのと申し上げていますが、実のところはおおまかな経験則です。

いろいろなデッキを眺めながらなんとなく共通している特徴を集め、理由を考えてこういう結論に至りました。

並べただけでは分かりづらいので、具体的にデッキを眺めながら個別の解説を行います。


・具体的なデッキのカードの搭載枚数の分析

なるべくいろいろ入ったデッキが好ましいので、ジェスターMロマを例に使いましょう。

私が意図的にコントロールに寄せて作ったため、ビートダウンとコントロールのちょうど中間にあたるデッキに仕上がっています。

大切なのはあくまで大まかな構成なので、完成度はあまり気にしないことにしましょう。

とても大切なことなのでもう一度申し上げます。

完成度は、気にしては、いけません。よろしいですね。


・ファーストアクション

4 x 時空の庭園

4 x ヤミノカムスター


・セカンドアクション

4 x ジェスター・ブレイン


・ラストアクション

3 x 邪神M(マッド)・ロマノフ

2 x 超次元ボルシャック・ホール

1 x 超次元バイス・ホール

2 x 魔弾 ベター・トゥモロー


・非常用の回収・サーチ

2 x ダンディ・ナスオ

1 x 破壊と誕生の神殿(エターナル・サンクチュアリ

2 x 天真妖精オチャッピィ

2 x 大地と永遠の神門


・防御

2 x 斬隠テンサイ・ジャニット

2 x スベンガリィ・クロウラー

2 x 腐敗勇騎ガレック

4 x アクア・サーファー

3 x デーモン・ハンド


・サイキック

2 x 時空の英雄アンタッチャブル/変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード

1 x 時空の喧嘩屋キル/巨人の覚醒者セツダン

1 x 時空の探検家ジョン/冒険の覚醒者ジョンジョ・ジョン

2 x 時空の踊り子マティーニ舞姫の覚醒者ユリア・マティー

2 x 時空の火焔ボルシャック・ドラゴン/勝利の覚醒者ボルシャック・メビウス

f:id:Shiroenpitu:20101120004649j:image

基本的な動きは、

2ターン目:マナ加速

3ターン目:ドロー

4ターン目以降:Mロマ超次元

です。

厳密にターンにそって行動するわけではないのでファーストだのセカンドだのという面倒な表記を用いました。

マナ加速のかわりに手札破壊をすることや、Mロマの前にガレックや超次元で間合いを詰めることがあるためです。

ここではカムスターをマナ加速と同じ「ファーストアクション」に含め、「ファーストアクション」をドローまでのつなぎとして考えます。


前置きが終わったところで、本題に入ります。


a.デッキの動きを決める部分と、そうでない部分を分けて考える。

デッキには、相手によらず行いたいアクションと、相手によっては全く行わないアクションがあります。

例えばこのデッキを使っていて、相手がクリーチャーを出していない時にサーファーを召喚したりすることはまずありません。

使うとしても速攻対策やドラヴィタ対策として使うだけで、使わなくていいならもっと攻撃につながるカードを使うべきです。

こうした相手によっては使わないカードは、デッキの「本筋」からは切り離して考える必要があります。

このデッキはMロマと超次元を軸にしたビートダウンです。

デッキがきちんと動くかどうかは、Mロマと超次元、そして、そこに至るまでの下準備に使うカードだけを見て考えましょう。


b.カードはドローを重ねるごとに出てきやすくなる。1アクションに割く搭載枠は、序盤ほど大きくする。

当たり前のことですが、1枚ドローしたときにあるカードを引き当てる確率は2枚ドローしたときに引き当てる確率より低いです。

もう1枚引けば、それがドローすべきカードかもしれない。

ドローすればするほど、そしてターンが経てばたつほど、同じ1枚のカードでも引き当てる確率は高くなります。

ですから、後に使うカードほど少なくて済み、先に使うカードほどたくさん積まなくてはいけません。

上のMロマでは、ファーストアクションに8枚、セカンドアクションに4枚、ファイナルアクションに各2,3枚をあてています。


c.マナが溜まりきった状態でしばらく戦い続けるなら、コスト別カード数は中盤以降が太ってもよい。

「各2,3枚」という表現を用いたのは、もちろん「ファイナルアクション」を足し合わせると8枚になってしまうから。

ベターは実質Mロマから撃つためだけのカードなので差し引いても構いませんが、それでも6枚がこの行程に割かれています。

ファイナルアクションの方がセカンドアクションよりも多いのではbの説明がつかないので、とっておきのいい訳を披露しましょう。

ずばり、「Mロマを二匹出したり、超次元を使った後にMロマベターを使いたい」からです。

勝負はMロマや超次元一発で決まるとは限りません。

できるなら、攻撃に直結する「ファイナルアクション」は二回くらい行いたいところです。

二回分で6枚なら、1回分は各3枚。

非常に分かりやすい計算ですね。


他のデッキでも、高コスト域のカードが異様に大量投入されていることはよくあります。

マナが溜まりきった状態で何回も行動するなら、重いカードがたくさん欲しくなるのは当然。

十数ターンも戦い続けるコントロールデッキにおいては、Mロマのようなビートダウンよりもさらにその傾向が顕著です。


d.マナが溜まるまでは、どのターンにどのカードを使うか決めておくこと。

ビートダウンは本格的な攻撃が始まるまで、コントロールは一通りの妨害ができるようになるまで、可能な限り毎ターンマナを増やします。

ですから、マナが溜まりきってから使うカードを何回も使えるのに対し、序盤に使うカードの出番は1回きり。

中盤以降、序盤用のカードはたいていの場合お荷物になってしまいます。


すでに申しあげた通り、序盤に使うカードは早い段階で引き当てるために多めに積む必要があります。

それではどうやって序盤用のカードを減らせばよいのかというと、その答えは「序盤の行動の選択肢を減らす」こと。

2ターン目にマナ加速と手札破壊を相手に合わせて使い分けようなどと考えてはいけません。

2ターン目にマナ加速することを前提とするなら、それだけでも6枚程度のマナ加速が必要です。

たった1ターンのために12枚の枠をあてるなんて、無駄遣いもいいところですよね。


このMロマの場合は、庭園とカムスターがそれぞれ4枚ずつ搭載されています。

これは、「本当は庭園を使いたいけど、なかったらカムスターでもいい」という判断。

中盤以降で使えるカードを増やすため、選択肢どころか、「確実性」もある程度犠牲にすることを選びました。

マナ加速を少なめにしてドローや手札破壊を代わりのアクションとして用いるテクニックは割と良く使うので覚えていてください。

ポイントは、「前後につながるカードを共有させること」です。

この場合は、どちらのカードもジェスターブレインに直接つながるため、デッキが分裂せずに済んでいます。


e.ドローやマナ加速の恩恵を受けられない部分は、速攻のように多く積み、軽くそろえること。

ドロー呪文を利用することによって、1アクションに必要な搭載枠を減らすことができます。

(bの説明にあるとおりです)

また、マナ加速を利用することで、デッキの平均コストを上げることができます。

(この現象は、1-2で扱いましたね)

しかし、それはデッキ全体に当てはまることではありません。

下準備に使うカード自体、そして、下準備を使用するよりも先に必要なカードは、下準備なしで使用可能でなくてはいけません。

その部分だけは下準備を行わない速攻と同じで、たくさん積み、軽いカードで構成する必要があります。

(そのため、より多くのカードを大型化するにはマナ加速を最初に行う必要があります。)


f.防御の厚みは、敵の攻撃を3試合に2試合捌けるくらい必要。(攻撃を未然に防げる相手のことは考えない)

防御用のカードをどれだけ搭載するかは、デッキの活動時間や方針によって変わります。

長く戦うデッキは防御にも多くアクションを割ける必要がありますし、より大きな相手に対応できなくてはいけません。

あえて基準を挙げるとするなら、「自分より早い相手と戦ったときに6割勝てるかどうか」です。

防御に限らずバランス調整は流行っているデッキ相手に6割、マイナーなデッキ相手に4割の確保を目指して行います。

あまり出くわさない相手は、そこまで気にしなくてもかまいません。


・・・これだけ書いても、まだまだ上のデッキには説明がなされていない部分があります。

回収カードの問題、ファイナルアクションの回数、搭載するカードの種類・・・

隅々まで目的合理的に統一されたデッキを作る上では、どれも押さえておかなくてはいけない要素です。

次回は、こうしたデッキによって変化する部分についての傾向やパターンについて、浅く広くご説明いたしましょう。


<関連記事>

役割別スペースの目安その1 - ふたり回し

役割別スペースの目安その2 - ふたり回し

カードの使用条件とデッキの機能分化―2 - ふたり回し