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一枚考ならぬ一枚語り-封魔ゴーゴンシャック

ゴーゴンシャックとは、弱きを援け強きをくじくもの。

ゴーゴンシャックとは、環境のうちにあってこれを正す均衡の番人。

絶対に悪にはなりえないもの。


今の環境においては、ゴーゴンシャックは最も重要なカードの一枚です。

その原因はもちろん超次元を始めとした呪文中心の特殊召喚の繁栄にほかなりません。

相手の呪文を2ターン分遅らせるだけでも、ビートダウンにとっては大きな収穫、ブースト以上の価値があります。

しかし、これだけ強力なカードでありながら、ゴーゴンシャックが嫌われることはめったにありません。

アクアンも、ローズも、チャクラも、強いカードは恨まれるのが常ですが、ゴーゴンシャックは数少ない例外です。


ゴーゴンシャックはなぜ例外なのでしょう。

その答えから、環境のあり方が見えてきます。


・対策カードというもの

メタを張る、という言葉があります。

これは特定のデッキのへ対策を施すことをさす言葉。

ハンデスにはバイケンを、速攻にはスクラッパーを、ブロッカーにはガレックを、そして呪文には・・・ゴーゴンを、というわけです。

呪文全般に対する対策として、ゴーゴンは2ターンを稼ぎだすという素晴らしい能力を持っています。

ただし、この素晴らしい仕事には定められた限界があります。

相手が呪文に頼らないデッキを使っているときは、ゴーゴンはただの3マナ2000クリーチャーになってしまうのです。


ここに、対策カードの宿命があります。

相手のデッキによって、自身の機能が著しく左右されてしまったのでは、対策カードを使って積極的に戦術を組み立てることはできません。

常に機能を発揮できるカードでなければ、信を置いて常に使えるだけの枚数を裂くことができないのです。

ゴーゴンシャックは、その限界故にあまねくデッキを虐げる暴君の座から遠ざけられています。


・均衡と環境

最初の問いに立ち返りましょう。

ゴーゴンシャックは、なぜ恨まれないのか。

その答えはすでに用意されています。

すなわち、ゴーゴンシャックは環境を支配しえないから。


では、ゴーゴンシャックの強さは、超次元の影から生まれた幻にすぎないのでしょうか。

もちろんそうではありません。

ゴーゴンシャックは、現に心強いカードとして活躍しています。

ならば私たちはこう考えなくてはいけません。

超次元の影は、ゴーゴンシャックの強さを呼び覚ましてしまうのだ、と。

ゴーゴンシャックが力を発揮し、またデッキに搭載しやすくなるのは、呪文を用いるデッキがはびこる環境において。

すなわち、呪文に頼ったデッキが力を得、支配した環境です。

環境を支配する超次元の呪術は、まさしく自身の強さのためにゴーゴンシャックという脅威を目覚めさせてしまうのです。



ゴーゴンシャックには、まぎれもない強さがあり、そしてその強さは支配者にしかむけられない。

これが、ゴーゴンシャックが強さを持っていながら、私たちをしいたげようとせず、また恨まれもしない理由です。

対策カードは、弱きを援け強きをくじくことで環境の均衡が破壊されることを防いでいます。

全能なるデザイナーの御手は時に敢えて暴君を送り出すことでメタゲームの歴史を進展させようと試みます。

そして、それと同時に支配に立ち向かい、虐げられるデッキを救い出す対策カードを残すのです。

しかし、これは対策カードが環境に抗っているということを意味するのではありません。

環境を転覆から守る、均衡の番人として、対策カードは私たちのゲームを見守っているのです。


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