ほとんど一年ぶりの「デッキの構造」シリーズ。
今回は、除去タイプのコントロールについてご紹介します。
除去タイプのコントロールは、基本的に「アクアン」や「クローンバイス」の遺産です。
これらのカードが殿堂入りしてしまった今、青黒白にこだわる必要もなければ、軽量級のハンデスの中心も、フェアリーライフから繋がるジェニーです。
光のブロッカー主体のデッキならともかく、コントロールでブーストしないというのは、もはや絶望的なビハインドなのです。
それでも、緑の入っていないデッキ、フェアリーライフを拒むデッキがまだまだ環境の中には残っています。
いったいなぜこのタイプのデッキが残っているのか。
今回は、ブーストしないタイプのコントロールの構造に迫ります。
まずは、基本的な構造から入りましょう。
ドローによって少量搭載されたカードを引いてくるのは他のコントロールと共通していますから、今回はブーストするデッキとの違いを中心に見ていきます。
ブーストを軸にしたタイプがブースト後にハンデスをおまけ程度に狙うのとは対照的に、除去タイプのデッキはハンデスにこだわります。
こちらからスパートをかけるのではなく、相手の足を引っ張ってスピードを抑えておくことで優位を築くわけです。
そして、もう一つのポイントは、クリーチャー除去用のカードが多めに搭載されていることです。
ブーストしないため、このタイプのデッキは大型の除去カードで一気に制圧することができません。
ですから、中量級の除去カードで小刻みに潰していくことになります。
最近は強力なシステムクリーチャーが増え、ビートが大型化しているため、この傾向は強まりつつありますね。
デッキの構造の違いを分かりやすくするために、マナコストの分布を調べてみましょう。(いわゆる「マナカーブ」です)
検索して出てきた4つ,5つの平均的なデッキの大体の分布です。
(どれだけ適当なのやら・・・)
ブーストしないタイプのデッキには、コストの低いカードが少なく、大型のカードもあまり入っていません。
一方、ブーストするタイプのデッキは、ブースト用の2,3マナのゾーンが目立っています。
そして、分布が大型カードのゾーンまで伸びています。
除去タイプのデッキで大型のカードを使うには相手の動きを抑えることで終盤戦に持ち込むほかありませんが、
ブーストをするデッキならかなり大きなカードも早い段階で使え、それらの搭載枚数も伸びることになるのです。
これだけ話すと、ブーストデッキの方が強そうに聞こえますが、ここで思い出していただきたいのが、「散らす構築、締める構築」です。
高コストのカードは、一枚で中量級カード2枚分の効果を持っています。
ブースト用のカードが多い分、少なくなったスペースに大きなカードを入れて「締める」のが、ブーストデッキの基本です。
ブーストしないデッキは逆に、あまったスペースを生かして中量級のカードを大量に積み込みます。
「散らす」構築ですね。
そしてこの「散らす構築」には、「使えるカードがトップデック*1で出てきやすい」利点があるのです。
ブーストデッキで浪費されるターンが、この除去タイプのデッキには存在しないのです。
一枚で戦況を一変させられるだけのカードが少ない代わり、コンスタントに得点できるカードがたくさん入っている。
除去デッキの安定感は、「散らす構築」に支えられています。
また、中量級の除去、ハンデスカードが多いということは、カードの足が早く、何度も崩しに回れるということ。
先に述べたように、システムクリーチャーや大型ビートが台頭している環境下で、相手の足もとをすくえる早い崩しは貴重です。
相手が二枚目をトップデックしても、しつこく追い打ちできるのも魅力ですね。
ブーストしない代わりに、安定感のある除去タイプのデッキ。
爆発力に劣りますが、まだまだ捨てたものではありません。
そして、除去デッキが巻き返す機会は、確実に近づいてきています。
以前から申し上げている、バトルゾーンへの回帰。
ソウルアドバンテージの殿堂入りで一時的に昨年春のブースト環境に戻っていますが、新しいカードの開発方針は変わっていません。
これから、どんな形のデッキが台頭してくるのか、その中に、除去タイプのデッキは残っているのか―
ますます環境から目が離せなくなりますね!
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