ふたり回し

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殴りたくなるデザイン‐下

前回の記事の続きです。


二つ目の問題点は、多くのカードの不発です。

シーソーゲームを演じるのが一部のフィニッシャーに限られているということは、すなわち、それ以外のカードがシーソーゲームにあまり貢献できていない、

言い換えれば、戦国編で殴り合いを推進するために生み出されたカードのほとんどが、うまく機能していないということです。

城、シールドフォース、クロスギアと、戦国編ではシールドへの積極的な攻撃に意味を与える様々なカードが現れました。

が、そのうちのほとんどは、使われていないか、殴り合いにつながらなかったのです。


では、実際によく使われる城やシールドフォースが何かというと、まず筆頭に挙がるのは、ギャラクシーでしょう。

それから、ハッスルキャッスル、シルヴァーグローリー、ローズキャッスル、鬼面城、キリンソーヤも、比較的よく使われているようです。

ここで注目するべきは、この中で、積極的な攻撃に繋がるカードがどれだけあるかです。

鬼面城は、もちろん割らなければ危険です。

しかし、それ以外のカードは、破壊されにくいものや破壊できないものが多く、キリンソーヤに至ってはシールドフォースを解除する必要性にかけています。

このような傾向の背景にあるのは、もちろん、コンスタントに機能するカードの選好ですが、デザインそのものにも問題はあります。


それは、コントロール同士で使って強いカードがあまりなかったこと。

クリーチャーをしっかりそろえなくてはいけないビートダウンでは、城の使用はどうしても限定的になってしまいます。

攻撃と防御に絡んだ効果の城やシールドフォースが多かったため、実際搭載された城は、ほとんどがコントロール内の速攻対策でした。

また、ハッスルキャッスルなど、コントロール同士の戦いにも使える城には回避能力がついていたため、攻撃すべき状況を生み出せなかったのです。

ギャラクシーに至っては、攻撃させてくれないわけですから、むしろビートダウンを排除する方向に働いたと考えるべきでしょう。


そして、クロスギアとサムライも、フィニッシャー以前の攻撃を広めるには、役不足でした。

ビワノシン、フェアリーアクセラーなど、強力なアタックトリガーを有し、攻撃しながらの準備を可能にしたサムライでしたが、

初動の遅さがたたり、ブーストなどから直接WB以上につないでいくビートダウンのほうがもてはやされることになりました。

下準備用のカードが多かったことも災いしたのでしょう、クロスギアを軸にしたコントロールが登場することはありませんでした。



こうして広まったのは、ブーストから、高速でフィニッシャーを出していくデッキでした。

フィニッシャーがも防御も行ってくれるわけですから、早く出せば、安定感があり、かつ強力です。

ジェニーより軽くて強いハンデスが存在しなかったため、ブーストしないデッキは、どんどん少なくなっていきました。

フィニッシャーの性質の違いから、住み分けは成立しているものの、デッキの基盤を選択する余地は、ほとんど残っていません。



このように、多くの狙いが不発に終わってしまった戦国編。

攻撃と防御を前面に押し出したにもかかわらず、むしろ攻撃を継続することが困難になったのには、大きな理由があります。

それは、攻撃と防御を前面に押し出してしまったこと、それ自体。

むやみにビートを強化すれば、速攻対策を強化しなくてはいけなくなり、元の鞘に戻るだけですし、

防御的なフィニッシャーは、先制攻撃のリスクを増大させただけでした。

防御的な側面が攻撃的な側面を上回ったことで、環境から戦術のバリエーションが失われていったのです。



では、本当に必要だったものは、一体何か。

私は、「攻撃する必要性のあるコントロール向けのカード」こそが、シーソーゲームに必要であると思います。

推進するべきは、いち早くフィニッシャーで場を固めて攻撃に移るデッキではなく、場を固める前から攻撃し合うデッキなのですから、

フィニッシャーの前の行動、すなわち、ハンデスランデス、回収と攻撃を結びつけることが必要だったのです。

「固めにいくために攻撃しなくてはいけない」と表現されるべきかもしれません。

ロマノフやオールイエスなど、一部の成功例は、ビートダウン向けの能力ではなく、コントロール向けの能力を攻撃に結び付けています。

ですから、ハッスルキャッスルに回避能力がなければ、あるいは、ソウルアドバンテージが相手のシールドがどれだけ減ったかを参照していたら・・・

「損害を覚悟して、攻撃しなくてはいけないシーン」が、頻繁にに生じたかもしれません。

コントロールに揺さぶりをかけるために必要なのは、相手の妨害に関わらないカードを増強することではありません。

妨害のプロセスに攻撃を組み込むことで、コントロールを内側から食い破っていくことです。


神化編は、まだまだこれから成長していくエキスパンションです。

果たして、神化編はビートダウンの強化と防御パーツのいたちごっこで終わってしまうのか、ロータリーから抜け出せるのか・・・

創造主の次の一手を楽しみに待つとしましょう。


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