ブログを触る機会が得られなかった。
あと少しでまとまるところまで来ているので、少し場面を飛ばして紹介する。
「全く、大仰な格好をしていたから、もっと重症かと思ったぞ。」
口をとがらせる風音を横目に見やると、岩澄は声を出して笑い、伸びてきた髭を確かめるように右手で顎をさすり、反対側の手で幾起の肩を軽くつかんだ。
「さあ、ここでいつまでもだべってるわけにもいかねぇ。続きは歩きながら話そうや。」
気軽さを装った岩澄の言葉は、再開にほどけた部屋を柔らかく引き締め、二人の新兵の顔に冷たい光を注いだ。幾起はゆっくりと頷くと、
「お連れします。」
と真鍮の丸ノブに手をかけ、重みを確かめながらゆっくりと回した。錆びついた音をたてて日焼けした扉が開くと、向こうには前線の砦が続いている。張りつめた空気は、戦場までつながっているに違いない。二人に続いて、風音は力強く歩み出した。
ScarletStream第4話より。
機密物資を受け取りに行った先で待っていた幾起とつかの間の談笑。
彼が入手してしまったブツが、この次の展開のカギになる。
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