幾起が風音に見せた「戦利品」が、これからの展開のきっかけになる・・・・予定だ。
ScarletStream第4話より。
とっさに振り向くと、怪訝そうな顔をする幾起の肩越しに、倉庫に積み重なった厚い滓を刺し貫く光の帯が、埃を被っていないまたらしい幌を浮き上がらせているのが見えた。大きな板状のものに、革帯で巻きつけてあるようだ。
「それか。」
幾起きが頷くのを確かめると、風音は倉庫を見渡した。砂のこびりついた小さな天窓から射し込む光は屋内をくまなく照らすには貧しすぎ、四隅に寄せられた備品は勿論、幌に包まれた「戦利品」も、ごく一部を除いて暗がりに埋もれてしまっている。風音が薄闇の向こう側に目を凝らすと、その見えない部分から物言わぬ視線が返ってきた。冷たい汗が背中を伝い、すくんだ足が震えだす。
倉庫に納められた「開真名」の死体が今回のカギになる。
古代にも一度水の天蓋から現れ、世界を襲ったという「開真名」。
その正体と目的は、彼らにとっても、私たちにとっても最大の題目の一つだ。
・ランキング参加中につき一日一クリックをご寄付いただけますよう。