アビス+続編で検索してくる方が結構いらっしゃるので、
御期待に答えられるかどうかは怪しいものだが、
そちらの記事も書いておこう。
今回は方向転換して、主題歌にアプローチをかけよう。
では、「アビス」と「カルマ」について。
・二つのガラス玉とひだまり
これは、作中ではオリジナルとレプリカ。
ガラス玉、ひだまりは、
「光を浴びないと姿を見せることができない」
でかまわないだろう。
ひだまりを獲得できた一つだけが、価値を獲得する。
「同じヴァンに剣を学んだ者同士――存在をかけた勝負だ」
「アッシュよ、お前の力が私に必要なのだ」
ひだまり役は彼に任せよう*1。
光を浴びること=価値を与えられることが、後述の「理由」につながる。
・1と0の間
一つ目のパーコーラスには触れない。
どうやって生きてきたかではなく、今ここにいること。
「奪われるだけの過去もない」ルークとイオン。
「人類の未来」を騙りながら、
星の「記憶」への「復讐」を捨てられないヴァンたち。
・重ねた理由
「重ねた理由」「理由が重なって」の2か所*2。
理由が重なるのは、ルークとアッシュであろう。
同じ理由を奪い合う二人にしか、理解し得ないものがある。
そして二人はぶつかり合うことで、自分の姿を確認していく。
・理由を埋める
「十字架を立てる」はともかくとして、
「埋める」の解釈については意見の分かれるところだった。
その理由はおそらく、「埋める」を「理由を満たす」と錯覚したこと。
「埋める」→「十字架」なのだから、
「墓穴」に埋めたという連想が浮かんで来ない方がおかしい。
そういうわけで、この二つはほぼ同じことと考えてよいのではないか?
理由や価値との決別、理由を葬るという結末には、
「約束」も絡んでくる。
一つ目は、レムの塔での超振動。
二人に与えられたかりそめの理由が、ここで失われる。
そして、コンタミネーションという約束が、
ここで二人に付きつけられるのだ。
十字架にローレライの鍵をなぞらえるなら、うまく当てはまる。
二つ目は、賛否両論のことと思うが、
ルークとティアの「約束」である。
「ヴァン先生だけが俺を分かってくれる」希代のマザコン、ルークは、
「俺、変わるよ。」とティアに約束する。
「あなたは、もう俺には必要ない!」「ありがとうございました!」
特にラストの「ありがとうございました」は、親離れを思わせる。
冒頭で二人も超振動を起こしているので、ダークホースといえば、
ティアも紛れもないダークホースだ*3。
約束を介したダブルミーニングが見え隠れする。
・呼んでるから・・・音として、
「一つになる」とは作中ではコンタミネーションのことだが、
このゲームの主題でもある「音」を、ここで見逃してはいけない。
「音」ならば、重なることができるし、「重なって揺れる」にも合う。
そして、「呼んでるよ」も「音」だ。
ここに、この物語の「決別」のカタチがある。
「輝くもの」から「呼びかけるもの」への転身が、ルークの結論だった。
ガラス玉は、同じ陽だまりには入れない。
音は、しかし、ぶつかり合うことで、お互いの一部になってゆける。
「あなたがなんと言おうと、俺はここにいる!*4」
働きかけ合う「こと」が、ニンゲンならば、
「僕らは出会う」ことは、決して悲劇ではない。
かくして、70時間にわたるマザコンの冒険は、終わりを迎えるのだ。