デッキのお客さんは、多分「デッキを見に来てくれる」お客さん。
でも、時々思うこと―
ギミックを転用したり、「デッキを使ってくれる」お客さんは、「ふたり回し」の真の宝物です。
そんな気取ったことを言わなくたって、「使っているだけで楽しくなるデッキ」には需要があります。
私が使って楽しいデッキなら、私は楽しめるもの。
芸術作品から、おもちゃへ。
「感心させる」デッキから、「楽しませる」デッキへ。
贈り物を開けるドキドキを、一つ一つのトップデックに。
そっと触れた弦の響きを、繰り出される全てのキャストに。
今の私の、それがささやかな理想です。
・「勝つためのデッキ」「見せるためのデッキ」「楽しむためのデッキ」
世には、「ガチデッキ」と「ファンデッキ」というものがあるそうな。
ガチデッキは、競技用のデッキなわけで、これ以上分かりやすいものはありませんね。
一方ファンデッキは、人によって意見が分かれるようです。
「難解なコンボデッキ」や「人気のフィニッシャーを使ったデッキ」「レシピで笑いを取るデッキ」・・・
実に様々なデッキが「ファンデッキ」と呼ばれます。
「楽しい」デッキ・・・と読むのが正しいのでしょうけど、私には、こうしたデッキは「見せるデッキ」に見えます。
勿論、レシピを公開する以上、レシピは見せるためのものです。
ですから、「みる人を楽しませる」ファンデッキが、王道にあることに異論はありません。
対戦相手を驚かせたり、一目おかれたりするのも気持ちのよいものです。
ただ、結果を残すにせよ、見る人に訴えるにせよ、結局「評価を受ける」というゴールは変わりません。
それは、自分はともかく、オススメしたいデッキではない・・・(目立つのは私一人で十分!)
・・・と思います。
デッキは、私にとっては、少なくともオモチャです。
それは銃ではなく、手品ではなく、人形でもありません。
「使ってみて」と言えるような、使っていて楽しいデッキ。
それは、デュエルの楽しさを育てるデッキ、デッキを使う人のためのデッキです。
デュエルを面白くする―いわば、「トイデッキ」―を私は作りたいと考えています。
・プレイングが楽しいデッキの条件
それでは、「トイデッキ」は、一体どうすればつくれるのでしょうか。
きっと、その答えは、デュエルの醍醐味、悩んだり、懸けたり、はしゃいだり・・・
そうした要素を一つ一つ拾っていけば、見つかるに違いありません。
1.「悩み、考える」
おそらく、まず第一に挙がるのは「考える楽しさ」。
限られた手札から勝利への近道を探すのは、プレイングの醍醐味です。
判断力を要求するような、自由度の高いデッキは、使っていて楽しいはずです。
考えても仕方ない状況、考えなくても勝てる状況を減らすために、まるめに調整するのもミソでしょう。
2.「一枚に、懸ける」
ギャンブル要素のあるデッキや、単に運だけではなく、駆け引きを持ち出すデッキも楽しいですね。
バルガライザーのように、ランダムな要素を使うとデュエルは華やぎます。
また、シノビやマッドネスのように、駆け引きを生み出すカードも、デュエルを熱くします。
シールドプラスなんかは、博打と駆け引きが両方入っていて、うってつけに違いありません。
3.「盛り上がりの演出」
1.と食い違う部分もありますが、爆発力も大切な要素です。
早く、多く、重いカードを使うとワクワクしますよね。
勢いに乗せていくことを優先して、リードを固めすぎないようにすると、逆転も起きやすくなります。
迫力のあるスリリングな展開をご所望ならば、多少大味に攻めていくデッキも悪くないでしょう。
他にも色々要素が残っているかもしれませんが、ぱっと思いつくのはこの程度です。
こうした要素に絡んだ効果を詰め込んでいけば、「使う人のためのデッキ」ができる・・・とは断言できません。
が、楽しいデッキには、こういう要素があるということは、確かに感じることがあります。
利用したり、飾るデッキではなく、演じるデッキ―
いえ、どんなデッキも持っている「演じる」という側面はプレイヤーとギャラリーを同時に楽しませることができます。
それは、作られたデッキではなく、「作る力をもったデッキ」です。
決して消費しつくされることなく、デュエルの中で人と共に新たなものを生み出すことができるデッキです。
独特な操作感を持ったデッキは、開設当初からのふたり回しのテーマです。
そして、これからは、優れた操作感を持ったデッキを目指すことになるでしょう。
気の長い取り組みですが、今しばらく、お付き合いくださいませ。
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