回想から始まった方が筋が入り組んで面白かろうということで、当初の順番に戻した。
その影響で、つなぎのシーンが少し変わっている。
暗がりに溶け込んでいた火影が、俄かに浮かび上がってきた。朱く染まった岩屋の壁を、鋭く裁つのは鉄格子。黴の匂いに沈むのは、粗末な寝床と担桶ばかり。風幡家の客室とは見間違うべうもない、慣れ親しんだ洛澄本部の、初めて入った営巣だった。
「何ですか!?」
ため息交じりに聞き返し、両手に顔をうずめて呻く。夢が覚めるのをじっと待ってみるも、鼻を突く糞尿の臭いは、いよいよ眠気を追い払ってしまった。まだ使っていないのだから、中身は他人の置き土産か。指の間から力なく担桶を睨みつけながら、風音はほどけた経緯を織り直した。
ここから先は若干コミカルなシーン。
半覚醒のシーンをサイケデリックに仕立てたのとは対称的に、フィジカルな色彩を強くしてみた。
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