ふたり回し

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年季とデッキ~デッキ作りの最後の工程

競技志向の地雷屋は、蓄積がある、「レベル」が既に高いデッキを使うことで、マイナー側の不利を退けます。

ならば、自前のデッキのレベルを上げるには、どうすればいいのか。

「年季とデッキ」第三回。

デッキ作りを考え直すところから、レベルの高いデッキへの挑戦は始まります。


これまで一貫して主張し続けてきたのは、デッキの強さは「レベル」に大きく左右されるということです。

メタデッキは、「レベル上げ」以外の作業をレシピの共有によって短縮します。

自前のデッキを使いたいなら、同じ方法を使うわけにはいきません。

それでは何を参考にすればよいのかというと、それは「マイナーながら強いデッキ」。

地雷デッキを支えている、デッキ作成以前の蓄積―

自前のデッキで同じことをするには、一体どうすればよいのでしょうか。



・「作り捨て」られるデッキたち

いわゆる「ネタデッキ」の多くは、作ってすぐに解体、あるいはお蔵入りされてしまいます。

一通りの調整が終わって、「よし、できた。次!」といって新しいデッキに取り組む方も、少なくありません。

そして、そのたびに体験されるのが、「プレイングが後退する」現象です。

デッキを持ちかえた途端に、プレイングミスが急に増えて驚かれたことはないでしょうか。

動かしている人間は同じなのに、なぜデッキを換えるとプレイングが崩れるのか、奇妙に思われるかもしれません。


こうした誤解は、「デッキは物であり、プレイングは人である」という二元論に基づいています。

しかし、デッキは40枚のカードのセットで、プレイングは人間が行う操作かというと、そういうわけではありません。

デッキとプレイングは実際にはもっと複雑に絡み合っています。

デッキの特徴を活かすプレイングの重要性は、広く知られているところのもの。

プレイングはデッキの外にあるわけではなく、立派なデッキの一部分なのです。


頻繁にデッキを持ちかえる人は、ですから、デッキと一緒にプレイングも崩していることになります。

持ちかえては0からやり直し、持ちかえては0からやり直し、「強いデッキ」はなかなか見つかりません。

多様なデッキを作りたいのはデッキビルダーの性ではありますが、それではデッキのレベルは上がらないのです。


・デッキは使い続けるべし

一方で、幾つもの修理を経て、使い込まれるデッキもあります。

プレイヤーの「顔」、名刺として用いられるデッキです。

この手のデッキには、見かけのポテンシャルが低いにもかかわらず、強いデッキが沢山混じっています。

ナラセラフィムさんのセラフィムやHIDEさんのモールスは、その代表です。


これらの成功例や、競技向けのマイナーなデッキが教えてくれる事実は、ただ一つです。

デッキのレベルがすぐに上がらないのならば、じっくりとデッキを育てるほかない―

様々なデッキと戦い、対処法を覚えていきさえすれば、ネタデッキでもレベルを上げることはできます。

デッキの見えない部分に蓄積されていく経験値は、デッキの強さを決める第一要因なのですから。


・デッキの育て方

デッキは作るものでもありますが、同時に育てるものでもあります。

デッキのレシピが決まっても、最適なプレイングを調べつくさなくては、デッキが完成したとは言えません。

どのような相手に、どんな状況で、どのカードを使い、何を優先して行動するのか―

40枚のカードは到達点ではない、果てしないクエストの出発点に他ならないのです。


ただ、レベルを上げたからといって、どんなデッキでも勝てるようになるわけではありません。

適合する強いカードに恵まれているか、環境にうまく適応できるかどうかも、勿論重要な問題です。

強いカードが入らなかったり、大切なパーツが殿堂入りしてしまっては、手になじんだデッキでも苦戦は免れません。

苦手なデッキが幅を利かせることもあるでしょう。

そういった時のために異なるタイプのデッキを並行して育てれば、アタリも出やすくなるのでおすすめです。



・デッキ作りの最後の工程

ネット上には、無数のレシピが転がっています。

強いデッキ、面白いデッキ、野心的なデッキ・・・

それらが余りにも簡単に手に入ってしまうため、あるいは簡単に真似できてしまうため、私たちは誤解してしまいがちです。

「レシピは、デッキビルダーによる作品であり、それは完成されたトークンである」と。


しかし、レシピはデッキそのものではありません。

本物のデッキには、40枚のカードだけでなく、目に見えない部品が無数に詰まっています。

それは暗礁を避けるためのチャート、荒波と渡り合うためのマニュアル、風を読むための嗅覚だったりします。

デッキの中で一番大切な部分は、実戦で培われたノウハウ、あなたのプレイングに他なりません。


私は長い間、一番大切な部分を放ったまま、「デッキを作ってきた」と自慢していました。

そして、「よみがたり」や「緑の神託」と付き合ううちに、その浅はかさを教わりました。

デッキ作りは、レシピを仕上げたところで終わるのではなく、そこから始まるものだということを。

「最善のプレイングの探求は、デッキ構築最後の行程であり、最大の難所である」

デッキ作りを追い続けてきた二年半にわたる旅の果てで出会った、これが私の答えです。


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