ついにこのシリーズも大詰めです。
シナジーの構造はデッキを考案する上でもっとも重要な要素の一つ。
これまでのまとめと、そして新たな導入のためにも、ここでしっかりと扱い直す必要があります。
・デッキにとって根本的な機能・・・デッキのユニット化
第一回では、デッキの行動を「準備」「妨害」「攻撃」の三つに大別しました。
今回は、この分類を「カードの機能」に当てはめて考えます。
すなわち、「攻撃」、「妨害」、「補助」。
デッキのカードはこれらのいずれかに分類することができ、したがってデッキは三つのユニットから構成されていることになります。
(妨害と防御を分けたり、さらに単体除去と全体火力を分けることもできなくはありませんが・・・)
・デッキとカードのシナジー
デッキとカードの相性を考える上でも、基準になるのは「出力」と「入力」です。
カードの要求する条件は「デッキからの供給=入力」で賄えるのか?
デッキに課せられた作戦に「カードの機能=出力」は役に立つのか?
この二つの観点を意識すれば、デッキに入るカード、入らないカードが分かります。
まず、デッキ→カードへの入力=「デッキにどのようなカードを投入することができるか」について。
デッキ全体からカードへの入力とは、即ち「手札とマナ」です。
デフォルトで供給される手札とマナは1ターン1枚ずつですが、カードの効果を用いることでより多くのリソースを獲得できます。
3番の「補助」に分類されたカードたちですね。
デッキに投入できるカードは、既に入っている「補助」係のカードの能力に依存しています。
マナ加速が入っているデッキはコストの高いカードが使え、ドローの入ったデッキはいろいろな妨害カードを使い分けることができます。
墓地回収やマナ回収が投入されたデッキならば、シチュエーションを選ぶ専門的なカードの一枚積みもできるでしょう。
逆に、マナ加速しないデッキはカードのコストを抑える必要があり、ドローのないデッキは動きが単調になります*1。
回収カードが入っていないなら、1枚積みのカードに頼るのは危険です。
それから、カード→デッキへの出力=「デッキに必要な能力、カードはどのようなものか」について。
3番については、デッキからの入力から逆算するようにして考えます。
すなわち、「デッキに入っている他のカードを運用するために必要なリソース」をカバーできればOK。
それでは、その「他のカード」すなわち、1番の「攻撃」2番の「妨害」の需要は何が決めるかというと・・・
それは、デッキに課せられた作戦、デッキの「タイムテーブル」です。
ここで1-2を思い出してみましょう。
デッキタイプを決定するのは、デッキのタイムテーブル=「何ターン目に(=何マナの)どのような種類のカードを使うか」。
短期決戦用のデッキなら攻撃用のカードを多めに、長期戦向けのデッキなら防御、妨害用のカードを多めに。
早くに使うセクションのカードは多く、軽く、後から使うセクションのカードは少なく、重く。
決まった行程をこなすだけのデッキならマナ加速を重視して4枚積みを増やし、相手に合わせるデッキなら回収を厚くする・・・
これはすごく狭い条件ですから、作戦を立てた時点で入るカードはかなり限られています。
例えば「早い段階から手札破壊を連発して相手の動きを固めたい」なら、もうゴーストタッチやマインドリセットは注文済みです。
逆に、フェアリーライフは入らないでしょう。
「早い段階」は手札破壊にあてがわれるのだから、マナ加速している暇はありません。
同様に、「高コストのクリーチャーで激しく攻撃する」デッキはフェアリーライフを注文し、ポレゴンを返品することでしょう。
他にもいろいろな例はありますが、総じて「作戦を決めておき、作戦からはみ出さない」のが前提条件です。
・点検するポイント
カードとデッキの相性を考える上で踏まえるべきは、二つ。
「どんなカードを入れることができるか」、そして、「どんなカードが求められているか」。
この二点を判断するためのチェックポイントを、とりあえず三つまとめてみました。
1.タイムテーブルに収まるかどうか
まず第一の選考基準は、デッキが行うアクションのタイミングとカードのコストがあっているかどうかです。
「能動的に行うアクションを軸にデッキを考えよ」とは1-1で述べたとおりです。
あらかじめ「何ターン目にどのようなアクションをとるか」決めておけば、入るカードの候補もおのずから絞られてきます。
2.デッキが必要とする能力の種類
カードの機能が活躍するかどうかは、デッキや環境の要求によって決まります。
ビートダウンなら、攻撃用のクリーチャーや敵のブロッカーを破壊するための除去、早さを稼ぐためのマナ加速や特殊召喚がカギです。
コントロールなら、相手の動きを抑制するための手札破壊や制圧のための除去、カ-ドを使い分けるための回収がカギです。
複数のカードをそろえる必要があるデッキならサーチが有効ですし、長期戦が前提のデッキには回収が必要でしょう。
詳しくはこのシリーズをご参照ください。
3.手札供給の仕方
カードの機能の側だけでなく、カードを使うために必要なマナ側の条件、手札側の条件を考えることも大切です。
準備要員を主要活動の要求に合わせ、サブの活動に使うカードを準備要員の供給に合わせます。
例えば、大量展開のためにドローを重ねるドルゲーザには、防御するにも手札消費の激しいニンジャストライクが良く合います。
超次元呪文をアヴァラルドで引き出す超次元が、除去やハンデスに軽量呪文を使うのもこのためです。
しっかりまとまったデッキを作る上で、リソースやカードを軸となる戦術に合わせることは必要不可欠です。
デッキにとって必要なカードかどうか、そして、そのデッキで無理なく使えるカードか。
デッキ全体とカードのシナジーを押さえておくだけでも、デッキに入るカードをかなり絞り込むことができます。
そして、さらに統一感のあるデッキを作るためには、カード間のシナジーも押さえておかなくてはいけません。
次のステップでは、さらに細かい分析に進みます。
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