ふたり回し

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出・入力の調整法

「前のシナジー」と「後のシナジー」という言葉は何度か使っていますが、技術に関して語るのは初めてですね。

今回は、デッキ内のねじれを解消する方法についてお話しすることにしましょう。


・デッキ(作戦)に必要な能力を見つける

これもリターンズの3-2で既に使った言葉です。

最も大きなつまづきの石のひとつですから、もう一度きちんとお話いたします。


デッキに与えられた作戦が必要としている機能のバランス*1は、作戦を立てた時点である程度決まっています。

どういったペース配分でどれくらいのリソースを攻防や妨害に振り分けるのか。

デッキを作る上で最も重要な行程は、プランの設定にほかなりません。

プランがないことには、デッキパーツの足並みはそろわず、デッキ全体がまとまることなどあり得ないからです。


ゴールからデッキを作る際には、ですからあまりつまずきはないように思われます。

なんといっても、ゴールの要求にあったカードを探すだけでよいのですから。

問題は、パーツからデッキを作ろうとする時。

プランがぼんやりしたまま、なんとなくシナジーのありそうなカードを寄せ集めても、納得のいくものはできません。

たいていの場合は、途中までしかない塊が出来上がって、デッキ作りが止まってしまいます。


それではパーツからデッキを作るときには何をすればよいのかというと、それはゴールを探すことです。

カードを、あるいはコンボの候補をまとめたら、一旦手を止めて「何に役立つか」を考えましょう。

脈のありそうなゴールが見つかったら、後はそのゴールに合わせてデッキ全体をそろえていけば大丈夫です。



・機能のバランスの重要性

プランが要求する機能のバランスが実現しない場合、デッキの中には機能の過不足が生じます。

トリプルブレインを使ってカードをガリガリ引いても、マナが足りなくてイダを一匹出しただけで終わってしまう・・・

2回も3回もマナ加速したのに、手札があっという間になくなってトップもマナ加速ばかり・・・

進化元がいないのに進化獣ばかり手元にどっさり・・・

余っている部分があるということは、それだけ足りていない部分が生じているということです。

(勝つのに十分だったとしても、他のパーツと活かすのに不十分なことがあります)

足りていない部分が足を引っ張られては、余っている部分は足りていない部分と同じくらいにしか機能してくれません。


機能のバランスは、デッキにとっては死活問題です。

プランの要求する配分にあった能力、サイズを持ったカードを、それぞれの部署に適切な枚数投入すること。

難しくても、美しいデッキを作るためには欠かせない努力です。

必要とされているバランス配分は、常に念頭に置かなければなりません。


・実際の調整法

最終的な目標は、デッキ全体の物量:スピードの比率と枚数:サイズの比率を合わせることです。

そこで重要になるのが、外向きのカードと内向きのカードを分けて考えること。

外向きのカードとは、攻撃、防御、妨害などに関わるカードのことです。

内向きのカードとは、ドロー、マナ加速、回収などに関わるカードのことです。

外向きのカードが必要とするリソースを内向きのカードが賄えるか、内向きのカードの供給を外向きのカードが活かしきれるか。

この二点をおさえれば、スムーズに動くデッキにすることができます。


では、その目標に到達するための手段とは何か。

私が使っている調整方法は、おもに二つあります。

一つは、デッキのプランに個々のカードの速さや大きさ、分量を合わせること。

もう一つは、ネタになるカードに適した速さや大きさ、分量に合わせて、デッキのプランを組み立てること。

前者は、中速ビートからサイズの足りないクリーチャーを抜いて、ドローを強化したりする場合の調整法です。

後者は、大きすぎるドローカードに合わせて、フィニッシャーを大型化し、マナ加速を厚くする場合の調整法です。

ネタデッキの場合は、使いたいカードが決まっていることが多いので後者を選ぶことのほうが多いでしょう。


・過不足の見分け方

最後に、過不足の症例をいくつか挙げておきましょう。


a.手札が切れやすく、動きが止まってしまうとき

外向きのカードの要求に、内向きのカードの供給が追い付いていません。

ドローを増強するか、あるいは手札消費を減らすとよいでしょう。

デッキ全体のコストを下げたり効果の長持ちするカードを使うと、手札消費を抑えることができます。


b.動きが相手に追いつかないとき

主な原因は、内向きのカードが多すぎて相手に構っていられないことです。

内向きのカードを減らしてデッキを単純化、外向きのカードを使う機会を増やすとよいでしょう。

逆に、大幅なコントロール化によって時間を稼ぐという選択肢もあります。


c.個々のカードの威力が足りないとき

デッキの速度に比してカードのサイズが小さいと、パワーで負けてじり貧になりがちです。

外向きのカードをサイズアップするか、デッキ全体を高速化するとよいでしょう。

逆に、マナが溜まるのを待つシーンが多い時は、外向きのカードをサイズダウンします。


d.勢いが出ない、ハズレカードが多い

デッキの主要活動帯が広すぎます。

あるいは逆に、同じコストの下準備のカードが多すぎます。

大型化するにせよ、小型化するにせよ、活動するマナ域は絞り、そこに至るまでの下準備はマナ域を散らせましょう。

そうすることで、威力が足りない、あるいは使いたいけど使えないカードを減らすことができます。


e.温存しているわけではないのに手札が余る

ドローに比して、マナが足りていないようです。

ドローを減らすか、手札をはける手段を探しましょう。

マナ加速に頼るのも手ですが、特殊召喚や進化獣も狙い目です。


f.踏み倒してるのに速さが実感できないとき

素直にブーストしなさい。



再三編集し直す羽目になって申し訳ありません。

除去が余ってる時にシールドフォースを使ったり、と小技はいくらでも残っていますが、ひとまずこれでおさめましょう。

細かいことは、個々のデッキの解説で触れることにします。


「このカードが使いたい」というのは、デッキを作る最も分かりやすい動機の一つ。

ですが、使っただけで終わってしまうのはとてももったいないことです。

「カードを使うための条件」を考えるのと同じだけ、「カードの能力を必要とする状況」を考えること。

大きなクリーチャーを出すだけのネタデッキに飽きてきたら、意識してみるとよいと思います。


<関連記事>

デッキの構造リターンズ 3-2(デッキ内の出力・入力) - ふたり回し

入力と出力 - ふたり回し

*1:ドロー、マナ加速、ハンデス、除去、クリーチャーのサイズ、軽さなどなど