野暮ったくならないように気をつけてはいても・・・
「初めからそのつもりできていますから――もっと傘を持ってこさせるべきでした」
ことばを探して、やけた石畳の上に視線を漂わせる二人を、
じりじりと燃える太陽が照らしていた。
ステージのそでで時間を潰していると、少しずつ人が集まってきた。
風音か、千波か、客はとにかく一瞥をくれて、遠い談笑の中に混じってゆく。
頬を伝った汗が、ゆっくりと、競技場の砂に吸い込まれる。
荷物をまとめて帰るもの、休憩を取って噂話をするもの。
まだまだ肌寒い斜陽が、まばらな影を投じていた。背中に冷たい視線を感じる。
「まただって、○秘情報なんだけど、ヤバくない?」
「いつものことじゃん」
「そうだけど、今度は全部だって」
「マジっすかぁ~」
「さっきヤバイって言ったしw」
「そりゃ流石に引くわww」
「的を離して、右手を構える。
「別に主席になろうってわけじゃないけどさ」
「わかるわかる、『お前にもできるはず』っしょ。うちの親もさぁ・・・」
「あんな奴と比べられてもなぁ」
椏殻に当たって跳ね上がった的に、立て続けに椏殻を打ち込む。
風音には分かっていた。あんなものは、余計な雑音でしかない。
そうだ、お前たちは――
「下らない連中だ」
後、ひと捻りが欲しいところ。