あげられると思う。
「よくやるよ、仕事が終わったばかりだっていうのに」
黒ずんでねじ曲がったブリキの残骸をつまみあげ、宿合はため息をついた。
「少しでも差を詰めて早くお役に立てるようにならなければ――」
「頑張りすぎるなよ。強いのは分かったが、無茶はよくない」
さえぎる宿合の以外に沈んだ顔に、風音は一瞬口籠る。
「・・・十分だと思ったことはありません。現に今回は――」
「やめろよ。そりゃぁ、あいつなら一人でもなんとかしただろうがな」
宿合は、夕日に向かっていくらか進むと、防波堤の端に腰を下ろした。
「でも、今回は俺がいた。あんなことになったのは、お前が弱かったからじゃない。
与えられた役割を果たして、少しずつ自信をつけていけばいい」
石にぶつかる波の音と、缶を弄ぶもろい音が、夕日に燃える海と空の間を埋めてゆく。
初めて声を荒げた宿合に、風音はうまい答えを見つけることができなかった。
気分転換も兼ねて、次回は別のシリーズに手を出してみる予定。