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覚醒編に見るDM史

以前、神化編が「進化」という接頭辞を用いてDM史の再現を行っているとお話ししましたね。

今回は、同様の視点から神化編を振り返ってみます。


・5つのサイクルとDM史

DM史の時代区分には様々な種類がありますが、今回はゾーンマネージメントの観点から5つに区分します。

まず、聖拳編までの、「手札の時代」

聖拳編から不死鳥編までの、「マナの時代」

不死鳥編から極神編までの、「墓地の時代」

戦国編、「シールドの時代」

そして、神化編、「山札の時代」


聖拳編までの殿堂入りカードには、多くのドロー系カードが含まれています。

アクアン、シェイバー、サイバーブレイン、アストラルリーフ・・・

水文明が幅を利かせた、正に手札の時代と呼ばれるにふさわしい時期です。


聖拳編で登場した「母なる大地」。

このカードは、極神編の終わりまで、常に環境の中心に居座り続けることになります。

同時に、トリッパーやハリケーンクロウラーなど、マナを操作するサイクルが現れたのも印象的です。

アルファ、ドルバロム、サファイア、エターナルソードと、大型カードが活躍した時代でもあります。


不死鳥編に入って現れたインフェルノゲートは、DMに新たな時代を呼び込むことになります。

墓地からの直接召喚、リアニメイトの本格化により、ゲームの高速化が顕著になりました。

極神編に入って、カラフルダンスやインフェルノサインが登場。

ゴッドのサイズが7マナ前後だったこともあり、リアニメイト万能時代が幕を開きます。


戦国編に入っても、依然リアニメイトは顕在、ロマノフの登場によって、さらに権勢をふるい続けます。

しかし、その影で新たな時代のための実験が動き始めた、それが戦国編です。

シールドフォース、シールドプラス、星龍によるトリガー化、そして城。

実に様々な方面からのシールド利用が試みられ、DMの独自性が磨かれました。

シールドフォーースの代名詞でもあるギャラクシーは、今も活躍する時代の証人です。


神化編は、ある意味では、「進化」を冠したDM年代記です。

各文明が、様々な特殊進化を利用して独自の戦術を展開します。

手札進化、マナ進化、墓地進化、ブロッカー進化、そしてデッキ進化。

この時代を決定づけたのは、エンペラーキリコです。

山札の上からの大量召喚は、多くのプライヤーを勝利に導き、そして震え上がらせました。

オリジナルハートやバルガライゾウ、バルガライザーと、山札から召喚する強力なカードを多く輩出しています。



・覚醒編―新たな時代と特殊召喚

神化編が「進化」を関していたのに対し、覚醒編が冠するのは、「サイキック」と「ソウル」です。

超次元ゾーンという新たな特殊召喚元が加わったのは大きな変化です。

が、「覚醒」という形で各クリーチャー固有の特殊召喚が実現されたことは、さらに大きな変化だと言えるでしょう。

特殊召喚はカードゲームの地雷でもあり、同時に華でもあるのです。


そして、各文明が、それぞれのゾーンにちなんだ能力のサイクルを持っているのも特徴です。

手札、マナ、山札、シールド、墓地をテーマに能力を固めることで、デッキ構築にカードデザインが反映されることでしょう。

これまでの蓄積を活かしつつ、文明をシナジーの枠として混色化からの還元を図る、優れたアイデアです。

混色化によって失われつつあった文明の意義を取り戻した功績は、不死鳥編と比べ物になりません。



覚醒編は、DMを新たなステージへ導くための鍵として、超次元を導入しました。

そして、ソウルというもう一つの鍵を使って、各時代へと開かれたゲームを実現しようとしています。

5つの時代を経て、5つのゾーンを使いつくしてしまったかのように見えたDM。

覚醒編の優れたデザインは、私たちのこうした臆見を覆しただけではありませんでした。

DMが何を目指し、どこへ向かってゆくのか―

乗り越えられた水平線の彼方にも、この偉大な運動の目的地は姿を見せる気配がありません。



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