ふたり回し

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F-124 White Shark

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F-35は爆装した際兵器を外部搭載せざるを得ず、レーダー反射面積の増加が予想外の被害に繋がったことから、大型の爆弾槽を持つマルチロール機の開発が模索され始めた。

各社から提出されたプランの内、空軍が目を付けたのはノースロップのEA-24改修案である。

B-2は極力温存する方針が取られ、ステルス機の中では比較的容量に余裕がある

EA-24が戦術爆撃に流用された事例は少なくない。

機体規模に対する軽量さゆえに、インテークの配置変更だけでもペイロード、運動性共に改善が見込まれるものと判断された。

程なくして開発計画の許可が下り、新型機の型式にはF-124が割り当てられている。

 

インテークを胴体上から胴体横に移動したことで、EA-24では許容されていた大迎角時のエンジンストールが解消された。

インテーク断面が下向きに傾斜しているためレーダー反射面積が増加したものの、想定内の数値に納まっている。

全体像は幾分保守的になり、顧客からもEA-24より好意的な反応が得られた。

インテークの奥にはFOD防止装置を兼ねた分離版が配置され、対気速度に合わせて吸気量を調節する。

 

また主翼は低翼配置から高翼配置に改められ、尾翼の効率が若干向上した。

搭載量の増加による重心の移動に合わせて揚力中心をやや前方に移動させる必要があり、翼平面は大型の二重間隙フラップを備えた直線テーパー翼である。

これにより主翼の剛性や最大離陸重量が改善された一方、臨界マッハ数が大きく低下した。

現場ではこれを逆手に取り、長距離回送時には超音速巡行が行われる。

揚抗比自体は向上しているため、音の壁から抵抗を受けない超音速、低速域での速度性能は原型機に遜色ない。

 

迎角時の揚力増大に向けたもう一つの改修は、胴体チャインへのボルテックスジェネレーターの追加である。

これは効果を調整する為ためLERXを大幅に小型化したもので、最終的なペイロードは最大9,200kgに倍増、大柄な機体に見合わぬ戦闘機動を実現した。

ボルテックスジェネレーターはインテークへの境界層の流入を阻止する機能も併せ持ち、本機の超音速巡行に寄与している。

また運動性向上のため上面には垂直尾翼が追加され、排気ダクト内の推力偏向パドルは撤去された。

戦闘爆撃機への転向は飛行特性以外でも意識され、大型のキャノピーにより後方視界が拡大。

また複座式であることから前方の枠を大きくとり、搭乗時には左右に開閉するよう設計されている。

再設計による運動性の飛躍的な向上は、寧ろ原型機の設計を失敗と看做す風潮を作り出してしまった。

事実F-124はEA-24の任務の大部分を代替可能であり、EA-24の生産ラインを全て本機に回したことが新型機であるF-124の調達価格を押し下げたと言われる。

 

外形の変化に対し、内装にはEA-24との共用部品が多く用いられた。

エンジン、操縦系、レドーム降着装置、水平尾翼に加え、爆弾槽も容量が十分であることから大きな変更は加えられていない。

数少ない変更点は上面燃料槽の小型化と側方警戒レーダーの追加である。

コクピットと爆弾槽の間に小型ながらフェイズドアレイレーダーを組み込み空中戦闘哨戒能力を強化した一方、航続距離は5,000Km弱まで減少した。

運用中のEA-24までもが順次F-124の部品取りに解体される中、無給油での長距離進出が必要な任務を担当するためEA-24を一定数残す動きがある。

 

戦闘爆撃機への転向に際して本機にはScreechよりも攻撃的な公称が求められ、同じノースロップ製のF-20 Tigershark に範を取りWhite Sark(ホオジロザメ)と名付けられた。

本格的なステルス爆撃機と兵器搭載量に余裕のある戦闘機という評価しやすい二側面を持ったF-124は一種過剰な熱狂を以て空軍に迎えられ、F-15Eに続く戦闘爆撃機として、嘉手納基地を皮切りに各地の前線基地で導入が進められている。

早期警戒任務への流用も検討されており、NASAではECMデコイにレーダー波照射機能を追加し反射波を母機に受信させる実験が行われ、ステルス警戒機としてメディアに取り上げられた。