陸軍の対空戦闘任務は、仮想敵の小型、分散化によって抜本的な見直しを迫られている。
対地攻撃ドローンの多くは対空火器や通信妨害によって対抗できるものの、いずれの電子装置も徘徊型の対レーダー兵器に対しては脆弱極まりない。
曳航型デコイ同様、使い捨ての装置を利用し妨害車両本体の損耗を防ぐプランが提唱された。
最も重視されたのは発振器部分の低コスト化で、計算機自体はAN/ALQ-227の流用に過ぎない。
発振器はヘリウムガスで浮揚するバルーンと100mのワイヤーアンテナ、そしてワイヤーのリール兼アンカーによって構成されている。
強度を向上させるため、ワイヤーには心材として炭素繊維のケーブルが埋め込まれた。
M-1126に積載された計算機からケーブルを介して信号が伝達され、ワイヤーアンテナから無指向性の妨害電波が発信される。
妨害目標が決定されるまでは通信の傍受もワイヤーアンテナによって行われ、一台の計算機で最大32本の発振器を運用可能。
ワイヤーが長いために任意の周波数を合わせやすく、ロッドに設置されたフェーズドアレイアンテナよりも見通し線も長い。
単純さが破損時のリスク軽減に一躍買っており、予備のバルーンと交換することで5分以内に復旧が行われる。
当初は指向性を持たず、出力と本数で広範囲をカバーするように運用されていたが、cブロック以降にはアンテナを等間隔で設置すればアンテナ間の位相を調整して目標の位置を探知、妨害電波にも指向性を持たせる機能が追加された。