イラストは5号機I-951c、グリーズのパーソナルカラー。
対人攻撃、偵察用ドローンは損耗率が高く小型化、低価格化が要求される都合上、その大半は外部の支援なしに作戦を遂行できるだけの観測・情報処理能力を有していない。
そのため使い捨てのドローンは火器によって迎撃せずとも、通信妨害で効率的に駆除することが出来る。
MQ-51のオプションとしても早い段階で通信妨害装置が提案され、AN/ALQ-950通信対抗キットが開発された。
当キットは8対16本のロッドから構成されるディスコーンアンテナを備え、周囲50m以内の敵性ドローンに対しデータ送信、機体操作の妨害を行う。
大量のアンテナが本体からぶら下がったシルエットは、商品名の由来にもなった。
上下一対のロッドは本体への接続軸で時計回りに回転することで引き上げられ、機体の着陸を妨げることはない。
初期型である950は限定的な機能しか持たず、情報処理の大部分を管制装置に依存していた。
SIGINTモードにて傍受した波形を管制装置に送信、オペレーションソフトがドローンへの指令信号を検出し、同じ周波数でのノイズカバーを機体に指示する。
敵機への積極的な命令や親機への欺瞞情報の送信はおろか単機でのジャミングさえ不可能であったものの、950は実戦でメーザー以上の制圧力を発揮。
国防省は通信対抗キットの開発予算を増額し、実機に先行してオペレーションソフトを強化、随時新機能を追加した。
16チャンネル化やホッピングへの対応など、最新バージョンは設置型の妨害装置にも見劣りしない。
また951からはキット側にジャミング・ボードを内蔵、管制装置との通信が途絶した環境でも簡易な通信妨害が可能である。
前線、さらには敵防衛施設内での通信妨害は非常に画期的であり、当キットを装備したMQ-51は多数のドローンで構築された無人防衛網を一方的に蹂躙する活躍を見せた。
また搭載機種がc型に更新されると同時に、ジョイントを変更した952が実用化されている。
現在は第三世代の通信対抗キットが開発中で、直近の展示会では別周波数の指令信号による攪乱や味方機の再起動など、敵の通信妨害に対する対抗手段を獲得するとの発表があった。