第3話からの切り抜き。
服のデザインなど妙な所に引っ掛かると、
とたんに進まなくなってしまう。
「何がおかしい」
予想以上に冷たい声が、風音自信を驚かせる。
どこか見慣れた、忌々しい部屋の中、
無骨な青い隊服だけが、風音を遠くに隔てていた。
「なぜって――」
「まあ、こんな格好をしていれば、お嬢様には珍奇に見えるだろうがな」
一瞬振り向きかけた千波と、鏡の中の侍女の目が合った隙に、震える声で遮った。
早口を張り上げたばかりに、語尾がもつれそうになる。
自分の言葉が胸中に沈みこむ、ごろごろとした感触。
さっきまで部屋を吹き抜けていた、蒸し暑い風が凍りつき、
侍女たちの間に戸惑いが伝染する中、
たった一人、千波だけが身じろぎもせず鏡と向き合っていた。
「でも、あなたはお嬢様でしょう?」
ここに何度か修正を加えていく。
ここも微妙なシーンなので、
失敗すると後々の展開に響くことになりそう・・・