特殊召喚という能力は、二つに分解することができます。
そしてそれは、カードゲームにおいて特殊召喚が持っている危険性の正体でもあります。
キリコに混じって、B級ロマノフの活躍もちらほら耳にするようになりました。
以前、この二つの新しいデッキが、旧来のボルバルやゲートサファの流れをくんでいるというお話をしました。
キリコにおいては星域(実質アマテラス)が、ロマノフにおいてはヴィルジニアが、それぞれ母なる大地とインフェルノゲートの役割を演じています。
どちらのカードも、二度の調整をうけていながら、環境の中心に躍り出るだけの力を持っているのですから、驚きですね。
この驚異的な力がどこに隠されているのかが、今回のテーマです。
通常あるカードを使用するためには、二つの条件を満たさなければなりません。
一つは、使うべきカードを入手すること。
そしてもう一つは、入手したカードをバトルゾーンに送り出すことです。
手札の限界とマナの限界は、プレイヤーにとっては乗り越えるべき障害です。
速い段階で強力なカードを用いるためには、この二つの障壁を乗り越えなくてはなりません。
一つ目の条件は、ドロー、サーチ、マナ回収、墓地回収などによって克服されます。
二つ目の条件は、ブースト、コスト軽減、特殊召喚などによって克服されます。
速く、大きく、確実に。
カードゲームの目指す頂きは、確実にそこにあります。
しかし、最初からこの障害がなかったとしたら、DMはどうなるでしょうか?
手札が引き放題、マナが置き放題であったなら、コストの低いカードの出番はありませんし、デッキの機能限界を追求することもできません。
先行をとったプレイヤーが確実に勝利する、ただのジャンケンになり下がってしまうでしょう。
手札の限界とマナの限界は、DMを暴走から守るための障壁でもあるのです。
星域の効果を思い出してみましょう。
マナの進化クリーチャーと、バトルゾーンのクリーチャーの交換ですね。
味方を一体マナに置かなければいけませんが、ここでは「マナからクリーチャーを出す」ということに注目しましょう。
マナから手札にカードを戻し、コストを払って場に出すだけの動作を、「マナからクリーチャーを出す」という効果が行っているのです。
コスト面でのサポートと、手札面でのサポートを、一枚のカードで賄うことができるのですから、強力でないわけがありません。
それは、DMを守っている、手札限界とマナ限界という障壁を、破壊してしまうだけの力を持った脅威です。
キリコもBロマノフも、ともに新しいカードです。
そして、見栄えのするレアカードの進化獣でもあります。
しかし、そのカードを支えているのは、後ろ暗い過去を持った二つの潮流、大地とゲートの亡霊に他なりません。
大地から紋章へ、紋章から星域へ。
二度にわたる微調整が、はたして効果を発揮することができたのかどうか、私たちが目撃する瞬間は、すぐそこに迫っているのです。
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