ふたり回し

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カードの使用条件とデッキの機能分化―0

以前お話ししたエンジンのコラムが、うまくまとまりそうな感じです。


・事故とエンジン

デッキが機能不全に陥り、身動きが取れなくなってしまうとき―それが「事故」です。

手札に使いたいカードがない、マナが足りない、手札が切れて対応が追い付かない・・・

山札の神様は気まぐれですが、組み方次第で、「事故りにくい」デッキにすることはできます。

使いたいときに、カードが使用できる可能性、使用可能性を上げるためには、何が必要なのか―

今回の講義では、カードの使用可能性とエンジンの働きについての考察を行います。


・二つの使用条件

あるカードを使うためには、通常二つの条件をクリアする必要があります。

皆さんもご存じのとおり、

・該当するカードを手札に持っていること

・カードを使用できるだけのマナがあること

です。

この二つの条件をクリアしなければ、そのカードは使えません。

使えないカードがデッキの中にたくさんあると、一般的に「事故」と呼ばれる状態に陥ってしまいます。

デッキがきちんと機能しているからと言って、デュエルに勝てると決まるわけではありません。

ですが、機能していないデッキで勝つことは非常に困難であること、それだけは確かです。


このシリーズでは、デッキがどのような方法でこの二つの問題を克服し、「事故」を避けているかを分析します。

様々なデッキが、様々な方法でこの問題を克服していますが、それは克服が容易であるということを意味しません。

それはむしろ、デッキの戦い方によって他のデッキで有効だった手段が通用しなくなってしまうから。

最善のデッキはなくても、戦い方に合わせた最善の解決策は存在します。

そして、それを見つけることこそが、今回の考察の目的なのです。


・二つの使用条件の相互圧迫

マナゾーンにカードを置くということは、一枚の手札を犠牲にするということです。

マナと手札はカードを使用する二つの条件ですから、これは二者択一。

マナゾーンにカードを置けば手札が減り、手札を温存すればマナが増えなくなってしまうのです。

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このように、手札とマナはお互いに圧迫し合っているのです。




・カードとカードの対立

しかし、上の図には大きな欠点が残されています。

たとえば、この図をこのまま適用するとサイバーブレインとクリスタルメモリーの扱いがおかしくなってしまいます。

「クリメモ4枚積みでPGを確実にゲットすれば勝てる」

を看過してしまうことになるのです。


サイバーブレインの強さ、「手札を増やす」能力が反映されるにはもう一つの要素が必要です。

それは、「カード同士の対立」です。

デッキの上から、一枚のカードを引くことを考えれば、このことは簡単に理解できると思います。

カードを一枚引いてみて、それがゼンであれば、そのカードはアクではありません。

山札の中にあるカードが入っているということは、他のカードが引きにくくなるということなのです。

考えてみれば、当たり前のことですよね。


そしてまた、マナゾーンにカードを置く際にも、カード同士の対立は引き起こされます。

先ほど述べたとおり、マナゾーンにカードを置くということは、カードの用不用を判断することです。

けれども、序盤であればマナを増やさないという選択は頻繁に行われるものではありません。

実際の判断は、たいていの場合「どの」カードをマナに置くか、「どの」カードがいらないかについてのものです。


ですから、「アクを手札に保有する」という行為は、「ゼンを手札に保有する」という行為とは別物です。

それどころか、この二つの行為の間には互いに排斥し合う力が働いていると考えるべきでしょう。

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このように、カードごとに手札の問題があり、かつ共通の問題としてマナの確保があると考えるべきです。


さらにこの図式を、デッキに入っている全てのカード(同じカードは一くくりとして)にあてはめましょう。

すると、カードの数だけ「手札に加える」の項目がある、円環状の図式が現れます。

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(実際はもっとたくさんの種類のカードが入っていると思います)




・次回に続く

円環状の図式が出来上がったことで、この図にはさらなる発展の可能性が生まれます。

カードの使用可能性を、一つの図表にまとめることができるかもしれないという可能性です。


「手札に加える」同士の対立は、ズバリ「カードの出現率」=「デッキ内のカードの比率」。

円グラフのようにカードの投入比率を角度で表すことができます。

そこに、如何にマナの要素、ドローの要素を加えていくかというところから、この次のお話を始めたいと思います。


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