ふたり回し

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カードの使用条件とデッキの機能分化―3

今回扱うのは、相手の使用可能性を減衰させる方法です。

「事故を防ぐ」という観点からは少し外れていますが、この際「事故らせる」ことも扱っておきましょう。


泥仕合とカードの使用可能性

これから検討するのは、相手の動きを妨害する機能です。

相手への妨害が、どうして重要になるかというと、それは相手も同じ方法で妨害を仕掛けてくるから。

相手が妨害に使うカードの使用可能性を奪うことができれば、それは自分のカードの使用可能性につながります。

ハンデスを邪魔できれば、手札のカードを守ることが、攻撃をブロックすれば、試合を長引かせることができます。

相手の使用可能性と自分の使用可能性は、常に対極にあると考えるべきでしょう。


ハンデスランデス―最も一般的な妨害

ハンデスランデスについては、極々簡単にご説明することができると思います。

ハンデスは捨てさせたカードの使用可能性を奪い、ランデスはマナの側から使用可能性を奪います。

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ただ、ランデスが奪う使用可能性については、少し考える必要があります。

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このとおり、ランデスハンデスと違い全てのカードの使用可能性を減らすことができます。

が、試合が長引いて相手のマナがたまれば、相手はカードを使用可能になってしまいます。

コストが重いカードでも、試合が長引けば使えるようになる―

裏返せば、手札を経由したカードの総数、外側の円が広がってしまうと、使用可能性が回復するということです。

ですから、ランデスは継続的に行って灰色の部分を増やしていくか、

ランデスと並行して攻撃することでゲームを終わらせるかの二択。

星域対策のランデスは、少ない例外です。


速攻の中のコントロール(Run and Gun様を参考に)

ほぼそのままの見出しを使わせていただきます。


さて、上に挙げた二つの方法には、外側の境界線、「手札を経由したカードの総枚数」がありません。

そして困ったことに、この外側の境界線には、隠されたもう一つの意味があります。

「デュエル中に経過した時間」ですね。

ドローによって、数ターン先のカードを手に入れることは、可能です。

しかし、厳密に、総枚数と時間経過が一致しているということでは、ありません。

「相手が必要とするマナがたまる前に、ゲームを終わらせる」

速攻の用いる戦術は、外側の境界に内側の境界を押しつけ、あわよくば乗り越えさせてしまうというものです。

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こうなってしまうと、高マナのカードはそもそも使うことができませんね。

これまで扱ってこなかった、防御用のトリガーやブロッカーが重要たらしめる理由がここにあります。

「外側の境界を維持し、カードの使用可能性を守ること」

それが、「使用可能性」という枠組みにおいて、彼らが担っている機能なのです。


そして、これはxi3010さんからの受け売りですが、「防御を選択させる」ことも、他のカードの使用可能性に響きます。

最初に申し上げた通り、手札の中には「カードとカードの対立」が潜んでいます。

ブロッカーにマナを使ってしまうと、マナブーストをすることはできません。

あるいは、ブロッカーのためのマナとして、ハンデス用のカードを使わなくてはならないこともあるでしょう。

速攻対策をデッキ造りの時点で考えるなら、速攻対策に充てるスペースも問題になりますね。


均質性と軽さによって事故を解消し、攻撃によって相手を事故らせる。

速攻は、機能未分化のデッキ。

単純な構造の中に、全ての要素を内包しているデッキなのです。



・おわりに

「事故と使用可能性」という観点から、DMを掘り下げたのは、「デッキの機能分化」について語るためです。

「速攻は攻撃するクリーチャーばかりに見えるけれど、その中で全てを賄っている」

すなわち、単細胞生物のようなものである、と捉える可能性を提示しようと思ったのです。

そのための材料として、三つの境界と、カードの使用可能性を用いました。


そのため、今回語ることができなかった要素がいくつか残っています。

「個々のカードのパワー」や「スピード」については、他の記事を参考にして頂くほかありません。

カードのパワー、手札効率については「デッキの密度」等で十分に語ることができていると思います。

スピードについては、悲しいことに「殴り合い入門」や「ブーストとトップデック」で断片的にふれているだけです。

物体としてのデッキはよく扱うのですが、デュエルは生き物。

うまく語るためには、今までとは違ったコトバを探す必要があるのでしょう。


ひとまず、「カードの使用条件とデッキの機能分化」は完結です。

これからは、デッキづくりからデュエルへと比重を傾けていきたいと考えています。