ふたり回し

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進化クリーチャーというサイクル―神化編の功罪

第4弾の全貌が明らかになったわけではないので、3弾までのカードプールのみでの判断ということになります。

第4弾で化ける可能性も、無きにしはあらず、と考えたいところですが・・・


・神化編の所以

神化編ということは、進化とゴッドがメインテーマなのは当たり前なのですが、その意味はどこにあるのでしょうか。

それは、進化クリーチャーとゴッドに共通する性質を問うことでもあります。

強力なフィニッシャーであるかわり、進化元を必要とする進化クリーチャーと、リンク相手を必要とするゴッド。

進化元やゴッドリンクという足枷は、オーバーパワーを可能にしつつ、デッキに負担を与えることになります。

デッキにかかった負担は、負担に対応した特異な構造を強いられ、デッキの多様性に貢献するはずです。

種族を統一したり、うまくゴッドをデッキの流れに取り込む工夫を凝らしたり・・・

そういった意味で、神化編は条件付きの構築、特殊なデッキ作りを求められる、面白いエキスパンションなのです。


・進化の弱み

しかし、進化獣やゴッドにかけられた足枷は、決して軽いものではありません。

それは、今までのDMにおけるプレイヤーからの進化獣やゴッドの扱いを見れば、明らかです。

時折とびぬけたカードが登場し、メタゲームを揺るがすこともありますが、大半はスクラップ。

この扱いにくさをどうして解消するか、どこまで解消すればよいのか、それが、神化編のサイクルに与えられた命題です。


神化編で登場した、墓地進化、デッキ進化、ブロッカー進化、オリジン、星域といった要素は、その答えの一部です。

マナ進化やヴィルジニアなど、戦国編で現れた進化まわりのギミックもありますね。

ゴッドに対しても、ゴッド専用の特殊召喚である神門など、さまざまなサポートがなされました。

この規制緩和が、神化編を大きく特徴づけることになります。


「進化獣とゴッドを、より普通のクリーチャーに近づける」

適正なバランス調整を伴えば、ちょうどいい負担と見返りが、生まれるはずだったのですが・・・


・崩れたバランス

負担の軽減によって、進化獣は普通のクリーチャーになりました。

それはすなわち、種族という、工夫を要求する要素が破壊されてしまったということに他なりません。

そのために、神化編はそれまでと変わらない平凡なエキスパンションになってしまいました。


それだけなら、まだしも救いはあったのですが、問題は既存の進化獣です。

神化編の規制緩和に合わせて、わざわざ弱く手直しするわけにもいきません。

結果として、神化編の目玉カードも古いカードの水準に合わせるしかなく、暴走が始まります。

キリコやBロマノフなどは、他の進化獣は勿論、究極進化獣よりも強力。

コストと強さの相関関係が、失われることになってしまいました。


強力なカードがピンポイントでメタゲームに参戦していくのは、いつも通りと言えばいつも通りのことです。

が、こと神化編は、残りのカードがひどい目にあっています。

規制緩和に対応するように弱く設定されたカードと、そうでないカードの差が激しすぎたのです。

ゴミの山の中に2,3枚だけメタゲームが紛れ込む、不死鳥編第一弾の二の舞ですね。



・神化編の反省

結論としては、規制緩和が激しすぎたこと、平均のカードパワーを下げすぎたことが問題になるでしょう。

従来通りの勢いでメタゲーム用の強カードを投入せざるを得ないことは、始めから分かっていたのですから。

残りのカードとのパワーのバランスをとって、ゲームを豊かにするという選択もあったはずです。


神化編は、新しいメタゲームを生み出しました。

それは、紛れもない事実です。

神化編によって、無数のネタデッキが育まれたことも、また事実。

ですが、それは個々のフィニッシャーの力、カードパワーによる成果です。

決して、サイクルの力や、種族の力、デザイナーズデッキの力ではありません。


残された希望は、三つのデザイナーズデッキです。

「死神」「白騎士」そして「NEX」。

神化編が、キリコとロマノフと進化速攻の売り逃げに終わるのか、それとも一つの可能性を提示できるのか―

第4弾が、その答えを握っています。