私が手掛けたタワーは二つだけですが、それでも少しずつ分かってきたことがあります。
・遊ぶ楽しさ
タワーデッキの最大の魅力は、普段と違ったデュエルができることです。
まずもって、ルールが違います。
山札もマナも共有されているので、マナチャージが利敵行為になってしまうこともあるくらいです。
逆に、カードを駆使してマナや山札、墓地のカードを取り合ったりすることもできます。
そして、意外なカードが想像もつかない活躍を演じることもあります。
「使えない」カードが暴れまわったり、逆境を覆したり・・・
相手も自分も同じデッキなので、「強い」カード以外にも活躍の機会が生まれます。
例えば、ハンデスが滑空男しかなかったとしたら、うまく工夫して滑空男を破壊しなくてはいけません。
癖の強いカード、普段使わないようなカードを工夫して使いながら勝利に近づく、高度なゲームを楽しむことができます。
さらに、タワーデッキはデッキの差を取り除いてくれる装置でもあります。
熱い戦いと言えばミラーマッチですが、タワーデッキは必然的に全試合がミラーマッチ!
対戦カードに左右されない白熱した公平な勝負が楽しめるという点では、これに勝るものはありません。
純粋な腕と腕だけの勝負を楽しむにも、まだカードをあまり持っていない仲間と遊ぶにも、うってつけのオモチャです。
突然暇ができてしまったときなど、間を持たせるのに一役買ってくれるに違いありません。
・作る楽しさ
忘れてはいけないのが、タワーデッキを作る楽しさです。
タワーデッキには、誰かに用意された環境などというものはありません。
タワーデッキの環境は、デッキに入ったカードが生み出すもの。
それは、カードを選ぶあなたの手によって築き上げられる、あなたの環境です。
あなたがカードを一枚入れるたびに他のカードの表情は移ろいます。
怯えるもの、いきり立つもの、ほくそ笑むもの・・・
カードの意味合いが、如何に環境に左右されているのか、改めて思い知らされることになるでしょう。
また、好きなカードが活躍するように、全体を合わせることもできます。
例えば、ソーラーチャージャーが使いたければ、アンタップが意味を持つようにデッキを作ればいいのです。
攻撃できるブロッカーを中心にしたり、相手のカードを殴り返し以外で倒せないようにしたり・・・
あるいは、墓地回収カードがボーンピアスだけなら、ボーンピアスの天下、などということもあり得ます。
最後に、タワーデッキを作ることは、勝負を演出することでもあります。
面白い勝負を演出し、プレイヤーに楽しんでもらえるかどうかは、あなた次第。
一枚のカードを抜き差ししただけで、他のカードの色が全て変わってしまうのが、タワーデッキというもの。
まさに、「滑りやすい坂」の上でバランスを取る技が、作り手に要求されているのです。
タワーデッキの魅力は、これでも語りつくすことができないものです。
カードゲームを離れて、ある種の異次元に迷い込むための呪文。
「ゲーム」を作り、磨いていくこと、そして、楽しんでもらう悦びを知るための、もっとも簡単な材料。
それが、タワーデッキだと言っても過言ではありません。
デッキを作ることに楽しみを見出す人はもちろん、手軽にプレイしたい人にとってもタワーデッキは可能性そのものです。
いつものお店で、遠征先で、はたまた、予想外の場所で、タワーデッキは色々なものを生み出してくれることでしょう。
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