ふたり回し

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昔話

余り回想は好きではないのだが、必要とあらば仕方がない。

ScarletStream第4話より。


《いや、まあ、なんだ。それだけ話しづらいってことだよ。》

 岩澄の曖昧な口調に、風音は質問を取り下げてみる。

《些細なことなら、構いません。つかぬことをお聞きしました。》

《いや、話すぞ。誤解させたままじゃ悪いからな。》

 慌てる岩澄に風音は念を押した。

《深刻な問題ですか。》

《そうだ。いいか、誰にも言うなよ。》

《分かりました。》

 雲ひとつない乾ききった空が、静かに動き始める。

《よし・・・玄谷はお前に借りがある。ここまでは話したな。》

《心して聞くので、早く話してください。》

《話す、話すぞ・・・信じないかもしれないけどな、あいつはお前に憧れて志を立てたのさ。》


まどろっこしい岩澄に半分確信犯で話をさせる風音だが、岩澄の回想は予想外の展開に向かう。

これまでにも何度か見せてきたように、風音は幾起に対して優位にある分、焦りを感じている。

ライバルに追われる側を主役に使ってみたかったというのは、ここだけの話。


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