ふたり回し

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Weight of my prideの新解釈?

沢村戦で使われた"Weight of my Pride"。

一歩がピンチなのは分かる。

曲の最後はちゃんと前向きに転換してるから別にやられてばかりの歌ではない。

でも、納得がいかない。

youって誰だ。Iって誰なんだ。

これは一歩と沢村の対話なのか?

でもそれじゃあAメロの意味がさっぱり分からない。

意外な解決は、今はもうリングに居ないあの人が握っていた。


この曲が流れるのは、一歩が沢村にボコボコにされるシーンだ。

だからサビの部分は沢村が一歩を煽っているのだろうと、そう解釈するのが妥当にも思える。

二人が交互にしゃべっているので、Iとyouが入れ替わっているといえばそれもそう。

ところが全文を見直してみると、明らかにIとyouがねじれていた。


Rain's falling down and just darkens the ground

A sound that I've heard before but I'm not sure


You keep me away from the place where you've been

But now I remember why you stay away from there


When you're falling to the ground

What do you see?

Your pride is going down with reality

You may try to stand up

But you'll realize your dreams are gone


The weight of my pride

Do I really need that?


You say we've talked before, I don't remember that

The weight of my pride has destroyed me again


But tell me how does it feel when you tell a lie

So tell me who's insane is it me or is it you?


When you're falling to the ground

What do you see?

Your pride is going down with reality

You may try to stand up

But you'll realize your dreams are gone


I know maybe I'm breaking down

But it's real man, this is another part of me

Forget that, everything you want me to say

Just leave me alone don't trust me for now


You say I'm crazy but you're already fucked up

Face up to yourself but you can't cuz you're a liar

Only thing you do is to run away from your truth

Big mouth, get your ass out of my town bitch


Rain's falling down and just darkens the ground

A sound that I've heard before but I'm not sure


You keep me away from the place where you've been

I tried to remember the place


Is that in my mind?


When you're falling to the ground

What do you see?

Your pride is going down with reality

You may try to stand up

But you'll realize your dreams are gone


There is something that I miss in my life

There's someothing left to save that's inside of me

I might try to understand

Then I'll figure out my dreams are here


My dreams are here

My dreams are here (yeah)


問題は二つ目のAメロ。

一つ目は王座を指して、

「お前の椅子に、俺を近づけようとしなかった。

 だが思い出したよ。お前がなぜ、そこから退いているのか」

You keep me away from the place where you've been

But now I remember why you stay away from there

と読めば分からなくもない。

stay awayというほどではないのだが。

そして二つ目は、

「前に話したことがあると言うが、知らないなぁ。

 プライドという重荷は、俺をまた叩き潰してしまったよ」

You say we've talked before, I don't remember that

The weight of my pride has destroyed me again

ここで、youに騙りかけているIがぶちのめされていることになっている。

これはおかしい。

無論、途中で分割されているなら筋は通らなくもないが、

そのままサビになだれ込むのだからここは別にmeではなくyouにすればよいではないか。


ここで浮かび上がる疑問がある。

Iとyouは二人ともボコられているのではないか。

対話によってIとyouが入れ替わったりはしていないのではないか。

この歌詞は全て一歩の独白ではないのか。


だとすれば、youとは誰なのか。

注目すべきは、Aメロのthe place where you've been。

やはりこれは日本フェザー級王座のように思われる。

一歩を退けたが、敗れ去った王者。

ともなると、該当するのは一人しかいない。

既にリングからも離れて久しい、伊達さんである。


これはAメロを説明するための説なので、Aメロの解釈はすんなり通る。

You keep me away from the place where you've been

But now I remember why you stay away from there

「伊達さんのいた場所(絶対の王座)には、なかなか行かせてもらえないな

 でも、今思い出しました。あなたがなぜそこから退いてしまったのか」

それは、リカルドさんにボコボコにされたからに決まっている。


この説の利点は、youの示す人物をそのままにサビを説明できるところである。

When you're falling to the ground

What do you see?

Your pride is going down with reality

You may try to stand up

But you'll realize your dreams are gone

「地面に倒れ伏すとき、何が見えますか?

 あなたのプライドは現実の前にひざまずき

 立とうとしたところで、思い知るだけなんだ

 夢はもう、潰えてしまったんだって」

現在形と未来系がベースなので、誰かが一歩に向かって言っていると考えた方が自然ではある。

が、その解釈ではこの先に説明しづらいところがある。


You say we've talked before, I don't remember that

The weight of my pride has destroyed me again

「前に話したことがあるって言いますけど、思い出せないな。

 プライドって重荷に、また僕は叩き潰されちゃって」

But tell me how does it feel when you tell a lie

So tell me who's insane is it me or is it you?

「でも、教えて下さい、嘘をつくとき、どんな気持ちなのか。

 間違ってるのは僕なんですか? 伊達さんですか?」


「場所」と「ダウン」、「夢」に続く四つ目のキーワードである「嘘」。

嘘に一番クローズアップするのは、ブリッジの部分である。

I know maybe I'm breaking down

But it's real man, this is another part of me

Forget that, everything you want me to say

Just leave me alone don't trust me for now

「分かるんです。僕はいかれてるのかもしれない。

 でも、実のところそうなんですよ。もともと僕の中には、こういう自分がいたんだ

 僕に言おうとしたこと、忘れて下さい

 放っておいて。僕なんて、もうアテにしないでください」

You say I'm crazy but you're already fucked up

Face up to yourself but you can't cuz you're a liar

Only thing you do is to run away from your truth

Big mouth, get your ass out of my town bitch

「僕が間違ってるっていうんでしょ。でも伊達さんだってもう駄目じゃないですか

 自分と向き合ってみたらどうですか。無理ですよね。嘘つきだから

 自分の真実から、逃げ出すことしかできないんだ

 ほら吹きめ、この街から出ていけ、くそ」

前半部は、伊達さんからの「バトンタッチ」を連想させる。

嘘というのは、「試合に勝つ」ことだと思うのだが後半部はセリフがかなり辛辣である。

こんなことを伊達さんに向かって一歩が言うとは考えにくい。

沢村が一歩に対して言っている、という説は、しかし、じゃあ嘘ってなんなんだということになる。

「リングの上にはルールがある・あの四角い空間には何もない」という論争か。

それは少なくとも違う。それは何らかの希望のはずである。


そしてAメロの変形が登場する。

途中まで同じなので、それが足掛かりになる。

You keep me away from the place where you've been

I tried to remember the place

Is that in my mind?

「伊達さんのいたところには、なかなか行かせてもらえないや

 どんなところだったのか、思い出そうとしてみたんだけど

 そうか、僕の、心の中にあるのか?」

王者のあるべき姿、姿勢は、伊達さんの面影なのか、自分が持っていたものなのか。

いずれにせよ、程遠いと思っていたその場所が、自分の中にあることを知るのである。

思い出すという以上、この部分には沢村説は適用しづらい。


一歩対沢村の構図でも、自問自答説でも説明が付きにくかったこの歌詞。

今の自分を伊達さんの敗北と重ねている、と考えると、上手く収まる部分が多い。

シーン中で触れられていない伊達さんを引っ張り出すのは不自然ではあるが、Weight of my prideをベルトだと捉えるなら、最も象徴的な人物は彼である。

沢村戦は一歩がチャンピオンとしての自覚に目覚めた試合であることを思えば、伊達説にはそれなりの説得力がある。