ふたり回し

小説投稿サイトとは別に連絡や報告、画像の管理などを行います

紙の本というインターフェース

先日の話と重なる部分もあるのですが、ネットと書籍で、好まれる作品が違うことはたまに実感しますよね。

例えば文章。

左寄せして小まめに改行するとネット、というかスマホ画面で読みやすくなる、とか。

中身も同様に、シックなもの、重厚なものは歓迎されない気がします。

読者層が違うのか、と思いきや、紙の本なら真面目なものも読む人でも、

なろうではライトなものを選ぶ傾向がある、みたいな噂もあり。

 

なぜこういう状況になるのかということを考えた時、一番に思い当たるのは「場」の要請です。

レーベルとか、客層とか、サイトを利用する目的とか。

けれども一方で、私はインターフェースの性質が影響しているのではないかとも思います。

 

というのも、同じことが書いてあっても、ネットより紙の本の方が読みやすいからなんですね。

別のページを開きやすいのと、どの辺に何が書いてあったか位置で覚えられる点が明らかに電子的なファイルと違います。

電書のことは分かりませんが、投稿サイトは今のところ、スクロールと目次で移動するだけ。

ページを移動すると再読みこみになったりしますし、相当に融通は利きません。

 

紙の本と投稿サイトの最大の違いは、おそらく情報の質ではなく形態の側にあります。

いいことが書いてあるかどうか以前の問題で、紙の本は読む際に便利なのです。

そしてそれを可能にしているのは、半ピラの紙を束ねてあるという、物理的な構造なんですね。

なるほど、紙の本というものは便利で、実によくできています。

では、何として優れているのでしょうか。

そこに目を向けると、紙の本が他でもない、「インターフェース」の一つだということが分かります。

それも、投稿サイトよりも、遥かに先進的な。

 

上でも述べた通り、画面上での移動法は、スクロールとリンクです。

一話分上から下まで繋がった文章を、ちょっとずつずらして読み進めるだけ。

考えてもみて下さい。

巻物と同レベルですよ、スクロールって。

おまけにPDFだと最初から最後までスクロールするしかなかったりして、これで迷子にならない筈がないんです。

 

紙の本とサイトのインターフェースとしての性能差は明らかです。

次世代の投稿サイトというものがあるとすれば、それは紙の本の構造を再現した物なのではないかと思ってしまうくらいに。

 

では、実体としての紙の本の構造をサイトのインターフェースに落とし込むとはどういうことを意味しているのでしょうか。

一つは恐らく、任意のページを一発で開けること。

一ページが見開きに納まって、ワンタッチで次のページに移動できること。

多分これは、そんなに難しいことではありません。

サイトで見たことはありませんが、アプリケーションなら見慣れたものがあるからです。

 

サイトを作るのにも使っているんじゃないでしょうか、テキストエディタですよ、旦那。

テキストエディタのツリー形式は、文章を書く時にも便利なんですよね。

先に一括ロードして、読み込みナシで移動できるのは大きいです。

PC版なら、ツリーが本文左のでかい空白に収まっているだけで、大分読みやすくなりますよ。

マウスを使わずに十字キーで動かせたらもう最高ですね。

スマホ版でも、ドラッグしてヘッダから項目を展開できるのではないでしょうか。

なおかつ最小単位を、20行ごとにするとか。

 

というわけで、サイドバーにツリーを表示して、目次に戻らずに別のページを開けるようにして欲しいなーというのが私の個人的な要望です。

Webサイトとしての利便性が上がれば他サイトに対するイニシアチブになるでしょうし、雨後の筍のように投稿サイトが沸いている昨今、検討する価値はあるのではないかと思います。