野暮用が片付いた、というのがふさわしかろう。
書きかけのScarletStream第四話より
《岩澄・・・さん。》
砂漠に差し掛かってから、かなりの時間が過ぎていた。地平線から湧きだす砂の海は、一向に尽きる気配がない。
《――お前な、俺を馬鹿にするのも大概にしろよ。実習で二、三回来ただけの学生さんとは違って、この辺りは何度も飛んでん だ。ほれ、復習だ、あっちの岩山、なんていうか知ってっか?》
鋭くとがった三棟の岩山は『三つの破鷲螺(バジュラ)』と呼ばれていた。土の富良樹が近づいた証拠でもある。
《『三つの破鷲螺』が見えたということは、後一息で土の富良樹ですね。岩澄さんの判断はおおむね的確ですよ。》
《うへぇ》
《伺いたいのは、先ほど申された――玄谷が、私について何か申し上げたそうですね。》
岩澄は一瞬考えて、
《悪口なんて一つもないよ。褒めてばかりで、こっちが恥ずかしくなるくらいだ。》
と、的外れな返事をよこした。
《違います。地下牢で、『お前のおかげだ』と言われてから、何を指していたのか気になっていて・・・》
仕事に駆り出された風音と岩澄。
往路で話の続きが始まるが、あまりあざとい昔話は避けたいところだ。
次の更新までには、また少し間が空くことになるだろう・・・
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