ふたり回し

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因果関係は擬人化である

ネタ帳

  時間-因果関係は果たして科学の理なのだろうか。 素粒子の世界で因果関係が双方向的になりえるというのは、因果関係そのものが自然への人間原理の押しつけ--ある種の擬人化であることの証左ではないか。 原因と結果の不可逆性は、過去と未来の不可逆性である。 過去と未来は人間にとって、経験を意思により行動へと変換するプロセスそのものである。 現に科学を持たない未開人の神話は自然現象を意思と経緯によって説明しようとする。 これは共感能力に基づく対人的な洞察によってこれを理解しようとしているからである。 科学、或いは機械論が神話と異なるのは、それが因果関係によって自然を理解しようとすること、見えざる神々の意思を排除している点である。 原因は法則に従って結果を生みだすのであり、そこに気まぐれや恣意は介入しない。 同じ原因からは、同じ結果が生ずる。 しかしながら、科学への妄信は、一つの事実を忘れさせる。 人類が原因と結果を、経験と行動の関係を上書きすることで得たという事実である。 それも精神と意思とを、自然法則に置き換えることによって。 物理的な反応を因果関係によって理解しようとするとき、我々は知らず知らずのうちに、二つの事象に経験と行動という役割を被せているのではないだろうか。 それがもし、より高度な真理の理解を阻むものであるとすれば、我々は意思の次に、因果関係、ひいては時間性を排除しなくてはならないのかもしれない。 この新たなパラダイムシフトは、時間という、人間が利用するための指標が作り出される以前の、無記名の宇宙を理解するための一助となってくれることだろう。