ふたり回し

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酷評

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そういう細かい部分を直す余裕があるなら、千華が立ち直るきっかけをもうちょっとちゃんと考える方がなんぼか得るものが多いような……
主人公の前に立ちはだかった壁が風で倒れた格好ですからね。

初対面の楽団員の昔話でやる気になられたのでは正直肩透かしです。
前半、仲間達と信頼関係を築いて共に音楽に取り組むことで千華の音楽への向き合い方が変わるという方向に話が進んでいるように見えたのですが、それがよもや海理とのLOVEとかを通り越して問題が解決せずに状況だけ好転するとは。
お爺ちゃんがキャンパスライフをエンジョイしてこいと言ったのは一体何を学ばせるためだったのですか?

実際は土壇場で問題がお母さんとの関係にすり替わりましたね。
それもお母さんの代わりに弾くという使いやすい場面でお母さんと和解するわけでもなく、対決するわけでもなく、シンクロするわけでもなし。
フーガ、マリア、コマちゃんはいつの間にか舞台を降り、観客席で指をくわえて見ているだけという有様でした。
結果千華の演奏を聞いて感動したフーガがファーストの座を譲りめでたしめでたし……

本当にめでたいですか? これは。
実力を認めてもらえて解決するとしたら、それは間違った理由で千華が干されている場合でしょう。
千華は既に実力が保証されていて、活躍の場も用意されている演奏家です。
大舞台で実力を発揮することがゴールなら、田舎の音大などさっさと辞めて演奏活動に専念すればいいだけの話になってしまいます。

無論小説の評価はターゲットを踏まえて決めるべきものですし、ナツイチが何を要求しているのか私は知りませんが、少なくとも若者が音楽と向き合って成長する話にはなっていないと感じました。
実は難解な不条理小説だったと言われたら、ナルホドナァ、と思います。